特定技能最低賃金運送業の完全ガイド|2026年最新の賃金相場と法的ルール
- 高橋 壮
- 2 日前
- 読了時間: 7分

目次:
「特定技能のドライバーを採用したいが、給料はいくらに設定すればいいのか?」「最低賃金が上がったと聞いたが、自社の外国人材にも影響があるのか?」
運送業で特定技能外国人を雇用する際、最も重要かつ基本となるのが「賃金設定」です。特に、日本では毎年のように最低賃金が改定されており、2025年10月には過去最大級の引き上げが行われました。法令違反は、特定技能の在留資格更新拒否や企業の受入れ停止処分といった重大なリスクに直結します。
この記事では、特定技能外国人材の紹介を専門とする立場から、2026年時点での最新の最低賃金情報と、運送業における実務的な賃金設定のポイントを徹底解説します。コンプライアンスを守りながら、優秀な外国人ドライバーを確保するための「正しい給与の決め方」をマスターしましょう。
1.特定技能最低賃金運送業の基本ルール

まず大前提として、特定技能外国人材を雇用する際の賃金に関する法的ルールを整理します。「外国人だから安く雇える」という時代は完全に終わっています。
特定最低賃金なぜ必要なのか
最低賃金制度には、労働者の生活の安定や労働力の質的向上、事業の公正な競争の確保という目的があります。特定技能制度においては、これに加えて以下の2つの重要な原則があります。

もし「日本人には月給25万円払っているが、特定技能外国人は最低賃金ギリギリで良いだろう」と考えているなら、それは制度違反です。入管への申請時に提出する「雇用条件書」や「日本人従業員の賃金台帳」との比較審査で不許可となる可能性が高いでしょう。
最低賃金の業種別ルールとは
日本の最低賃金には、以下の2種類が存在します。
種類 | 概要 | 適用範囲 | 水準の特徴 |
地域別最低賃金 | 都道府県ごとに設定される最低賃金 | すべての労働者 | 基本となる最低賃金 |
特定(産業別)最低賃金 | 特定の産業について設定される最低賃金 | 該当する産業の労働者 | 地域別より高い場合がある |
ルール上、「地域別」と「特定(産業別)」の両方が適用される場合は、金額が高い方を支払う義務があります。運送業の場合、後述するように「特定(産業別)最低賃金」が設定されているケースは極めて稀ですが、基本的な仕組みとして理解しておく必要があります。

2.特定技能最低賃金運送業の賃金相場

2024年3月に特定技能の対象分野に「自動車運送業」が追加されて以降、各社で採用が進んでいます。では、実際に現場ではどのくらいの賃金が支払われているのでしょうか。2026年の視点で見た最新トレンドを解説します。
特定技能賃金相場の考え方
最低賃金はあくまで「法律で許される最低ライン」に過ぎません。人手不足が深刻な運送業界において、最低賃金ギリギリの設定では優秀な人材は集まりません。また、先述の「日本人と同等以上」の要件を満たすためにも、市場相場を意識した設定が必要です。
実務的には、以下のラインが採用の目安となっています。

特定技能の最低賃金はいくらですか?
2025年10月の改定により、日本の最低賃金は大きく引き上げられました。全国加重平均は1,121円となり、すべての都道府県で時給1,000円を超えています。
主な地域の最低賃金(2025年10月改定版)は以下の通りです。

特定技能外国人の給与を月給制で設定する場合、
「基本給 ÷ 1ヶ月の平均所定労働時間」
で算出した時給単価が、上記の最低賃金を上回っている必要があります。
3.特定技能最低賃金運送業と特定最低賃金

ここで、多くの採用担当者が混乱しやすい「特定(産業別)最低賃金」について、運送業に特化して解説します。
特定最低賃金職種の確認方法
「特定(産業別)最低賃金」は、製造業(鉄鋼業、電子部品製造業など)を中心に多くの業種で設定されていますが、運送業(道路貨物運送業)に関しては、実はほとんど設定されていません。
確認するには、厚生労働省または各都道府県労働局のホームページにある「特定最低賃金一覧」を見ます。事業所の所在地がある都道府県で、運送業に関する特定最低賃金が設定されているかをチェックします。
特定最低賃金一覧の見方
一覧表を見る際のポイントは以下の通りです。
産業名:「道路貨物運送業」「自動車運転者」などの記載があるか探します。
※印の有無:金額に「※」がついている場合、その産業の特定最低賃金よりも地域別最低賃金の方が高くなっていることを示し、結果として地域別最低賃金が適用されます。
例えば、過去に「高知県」などでトラック運送業の特定最低賃金が設定されていましたが、近年の地域別最低賃金の急激な上昇により、多くのケースで地域別最低賃金の方が金額が高く、そちらが優先適用される(特定産業別は実質無効化している)状態になっています。
特定産業別最低賃金全国一覧の探し方
最新の情報を確認したい場合は、以下の手順で検索してください。
検索エンジンで「特定最低賃金 全国一覧 厚生労働省」と検索。
厚生労働省の公式サイト「特定(産業別)最低賃金全国一覧」にアクセス。
自社の都道府県をクリックし、一覧表の中に「道路貨物運送業」等の記載があるか確認。
結論として、2026年現在、運送業においては「地域別最低賃金」を基準に考えておけば、ほぼ間違いありません。ただし、念のため年1回は確認することをお勧めします。
4.特定技能最低賃金運送業の最新動向

運送業界を取り巻く環境は激変しており、賃金への上昇圧力は高まる一方です。
特定産業別最低賃金2026年の注意点
政府は「2030年代半ばまでに最低賃金1,500円」という目標を前倒しし、「2029年に全国平均1,500円」を目指す方針を掲げています。これにより、今後も毎年5%~7%程度の賃金引き上げが続くと予想されます。
2026年10月にも同様の改定が見込まれるため、特定技能外国人と雇用契約を結ぶ際は、「契約時の最低賃金ギリギリ」で設定してしまうと、数ヶ月後の改定で違法状態になってしまうリスクがあります。あらかじめ将来の昇給分を見込んだ余裕のある賃金設定にしておくことが、事務コスト削減とコンプライアンス遵守の観点から賢明です。
特定最低賃金廃止の影響整理
近年、特定(産業別)最低賃金の一部廃止や、地域別最低賃金との逆転現象(地域別の方が高くなること)が増えています。運送業においては、もともと設定が少なかったこともあり、廃止による混乱は少ないでしょう。
むしろ注意すべきは、「2024年問題」以降のドライバー不足による「市場賃金の高騰」です。他社が賃上げを行う中で、自社だけが最低賃金水準に留まっていると、せっかく採用した特定技能人材が、より好条件の企業へ転職してしまう(特定技能は転職が可能です)リスクが高まります。
5.特定技能最低賃金運送業でよくある質問

最後に、運送業の採用担当者様からよくいただく質問にお答えします。


6.まとめ

特定技能外国人材を運送業で雇用する場合、最低賃金のルールを正しく理解し、遵守することは企業の存続に関わる重要事項です。
記事のポイントまとめ
運送業の特定技能外国人にも最低賃金法が完全適用される。
「日本人と同等以上の報酬」が必須要件。不当な安値設定は審査に通らない。
運送業の特定産業別最低賃金はほとんど適用なし。「地域別最低賃金」を必ずチェックする。
2025年10月以降、全国平均1,121円に上昇。東京都は1,226円。
最低賃金は毎年10月に改定されるため、余裕を持った賃金設定が必要。
適正な賃金設定は、コンプライアンスを守るだけでなく、外国人ドライバーのモチベーションを高め、長期定着につなげるための投資でもあります。「最低ライン」ではなく「相場」を意識した給与体系で、選ばれる運送会社を目指しましょう。








コメント