外国人ドライバー受け入れ完全ガイド特定技能の要件・手続き・費用を図解で解説【2026年最新版】
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「ドライバーの採用がまったく集まらない」「求人を出しても応募ゼロが続く」——そんな悩みを抱える運送会社が、今急速に注目しているのが外国人ドライバーの受け入れです。
2024年3月の閣議決定により、特定技能制度に「自動車運送業」分野が新設され、トラック・バス・タクシーで外国人ドライバーを正式に雇用できる環境が整いました。政府が設定した5年間の受入見込み数は最大24,500人。いよいよ本格的な外国人ドライバー時代の到来です。
しかし「どんな手続きが必要?」「いくらかかる?」「何から始めればいい?」と疑問を持つ担当者も多いはず。本記事では、在留資格の種類・3区分の要件・受け入れフロー・費用・注意点をすべて図解でわかりやすく解説します。
目次:
1.なぜ今、外国人ドライバーが必要なのか

外国人ドライバーの受け入れを検討する前に、まず現状を正確に把握しておきましょう。日本の運送業界は、今まさに構造的な人手不足の嵐の中にあります。

45.2%
トラックドライバーの
40〜54歳比率
国土交通省データ
24,500人
5年間の外国人ドライバー
受入見込み数(2024〜2029年)
2024年3月 閣議決定
2027年
高齢ドライバーの大量退職が
本格化する「2027年問題」
業界各種推計
「2024年問題」の次に来る「2027年問題」
2024年4月、トラックドライバーへの時間外労働規制(年960時間上限)が適用されたことで輸送能力の低下が懸念された「2024年問題」は広く知られています。しかし、多くの運送会社が次に直面するのが「2027年問題」です。
現在、トラックドライバーの約45%が40〜54歳に集中しており、この世代が60歳以上を迎える2027年以降、大量退職が見込まれています。同時に若年層のドライバー志望者は減少しており、日本人だけで空白を埋めることは構造的に不可能な状況になりつつあります。

参考:国土交通省「自動車運送業分野特定技能外国人受け入れ関連資料」をもとに作成
こうした背景を受けて、国は2024年3月の閣議決定で特定技能の対象分野に自動車運送業を追加。同年12月から評価試験が実施され始め、外国人ドライバーの採用が制度上正式に可能になりました。
日本で働く外国人労働者は過去最高を更新
厚生労働省の調査によると、日本で働く外国人労働者数は2023年に約204万人と過去最高を更新。運送業をはじめ、製造・建設・介護などあらゆる産業で外国人材の活躍が進んでいます。人口減少が不可逆的に進む日本において、外国人材の活用はもはや「オプション」ではなく、経営継続のための必須戦略になりつつあります。
2.外国人ドライバーを雇用できる「在留資格」の種類

外国人をドライバーとして雇用するには、就労が認められた在留資格を持っていることが大前提です。在留資格の種類によって、就労できる範囲・条件・手続きが大きく異なります。主な選択肢を整理しましょう。
在留資格 | 就労制限 | 在留期間 | 家族帯同 | 転籍 | ポイント |
特定技能1号 (自動車運送業) | 同一分野内の 運送業に限定 | 最長5年 (更新可) | ❌ 不可 | ✅ 可 (同分野内) | 2024年新設。試験合格・日本語要件・免許取得が必須 |
永住者 | なし(日本人と同等) | 無期限 | ✅ 可 | ✅ 可 | 採用のハードルが最も低い。即戦力として活躍しやすい |
定住者 | なし(日本人と同等) | 3年・1年など | ✅ 可 | ✅ 可 | 日系人・難民認定者など。就労制限なしで使いやすい |
日本人の 配偶者等 | なし(日本人と同等) | 1〜3年 | ✅ 可 | ✅ 可 | 日本人と結婚している外国人。就労に制限なし |
特定活動55号 (準備活動) | 一部可 (運転業務は不可) | 最長1年 | ❌ 不可 | — | 特定技能1号取得前の準備期間。免許取得・研修に活用 |
技能実習ではドライバー業務はできません
「技能実習生をドライバーとして採用できるか?」というお問い合わせをいただくことがありますが、自動車運送業は技能実習の対象職種ではありません。技能実習生にドライバー業務を行わせることは不法就労となり、企業も厳しい処罰の対象となります。必ず在留資格を確認してください。
実務上、最も注目されているのが特定技能1号(自動車運送業)です。海外から意欲的な人材を採用できるため、慢性的な人手不足に悩む企業にとって有力な選択肢となっています。以下では、この特定技能1号を中心に詳しく解説します。

3.特定技能「自動車運送業」3つの区分と要件

特定技能「自動車運送業」にはトラック・バス・タクシーの3つの区分があり、それぞれ必要な要件が異なります。採用前に必ず確認しましょう。

トラック区分
特定技能1号評価試験(自動車運送業・トラック)に合格
日本語能力試験 N4レベル以上
日本の第一種運転免許取得
新任運転者研修:不要
バス区分
特定技能1号評価試験(自動車運送業・バス)に合格
日本語能力試験 N3レベル以上
日本の第二種運転免許取得
新任運転者研修の修了(必須)
タクシー区分
特定技能1号評価試験(自動車運送業・タクシー)に合格
日本語能力試験 N3レベル以上
日本の第二種運転免許取得
新任運転者研修の修了(必須)
評価試験について
特定技能「自動車運送業」の評価試験は、一般財団法人日本海事協会が実施しています。2024年12月より試験が開始され、2025年8月時点での全区分合計の受験者数は3,493名、合格者数は2,557名、合格率は約73.2%となっています。試験は国内外で実施されており、今後も拡大が見込まれています。
なぜトラックとバス・タクシーで日本語レベルが違うのか
トラックはN4(日常会話レベル)、バス・タクシーはN3(日常的な話題を理解できるレベル)と、乗客対応のある業種ほど高い日本語能力が求められます。バス・タクシードライバーはお客様と直接コミュニケーションをとる必要があるため、より高度な日本語運用能力が求められるのが理由です。
試験合格前でも採用準備を始められる(特定活動55号)
特定技能1号の要件(日本の運転免許・新任研修など)は日本国内でしか行えません。そのため、海外の候補者を採用する場合は、まず「特定活動55号(自動車運送業準備)」で来日させ、日本国内で免許取得・研修を受けてもらう流れが一般的です。この準備期間を企業独自の研修・日本語教育に活用することができます。詳細は法務省・出入国在留管理庁の公式ページをご確認ください。
4.企業側の受け入れ要件チェックリスト

外国人ドライバーを受け入れるには、外国人側の要件を満たすだけでは不十分です。受け入れ企業(特定技能所属機関)にも、クリアしなければならない5つの要件があります。採用を始める前に必ず自社の状況を確認してください。

企業が満たすべき5つの受け入れ要件
① 道路運送法上の自動車運送事業の許可を保有していること(トラック・バス・タクシーいずれかの事業許可)
② 職場環境認証の取得:トラックは「Gマーク(安全性優良事業所)」または「働きやすい職場認証(一つ星以上)」、バス・タクシーは「働きやすい職場認証(一つ星以上)」が必須
③ 自動車運送業分野特定技能協議会への加入(2025年1月より加入受付開始。受入事業者は第1号様式で申請)
④ 義務的支援10項目の実施(自社で対応困難な場合は登録支援機関への委託が可能)
⑤ 日本人と同等以上の報酬・労働条件での雇用契約(国籍を理由とした差別的な扱いは法令で禁止)
職場環境認証制度について詳しく解説
受け入れの前提となる職場環境認証は2種類あります。自社の事業形態に応じて必要な認証を確認してください。

Gマーク(安全性優良事業所)
対象:トラック運送業者のみ審査基準:安全性に関する計100点の審査で80点以上取得有効期間:2年間(更新制)主管:全日本トラック協会
荷主からの信頼確保にも有効で、Gマーク取得済み企業は競争優位にもなります。
働きやすい職場認証制度
対象:トラック・バス・タクシー全業種認証レベル:一つ星〜三つ星(外国人雇用は一つ星以上)審査料:3万円(電子申請)〜5万円登録料:6万円
法令遵守・労働時間・安全衛生・多様な人材確保など6分野の要件を満たすことが必要です。厚生労働省の公式ページはこちら
自動車運送業分野特定技能協議会への加入
受け入れ企業は、特定技能外国人を採用してから4ヶ月以内に「自動車運送業分野特定技能協議会」への加入が義務付けられています(早期加入を強く推奨します)。協議会は国土交通省が設置する組織で、制度の適正運用や情報共有を目的としています。

加入はオンラインフォームから申請できます(2025年1月17日より受付開始)。審査には1ヶ月程度かかる場合があるため、余裕をもって申請してください。
受入事業者(第1号様式):申請フォームはこちら
登録支援機関(第2号様式):別フォームで申請
義務的支援10項目とは
特定技能1号の外国人を雇用する場合、企業は法令で定められた10項目の「義務的支援」を実施する必要があります。対応が難しい場合は登録支援機関に委託することが可能です(委託した場合も最終責任は企業)。

義務的支援10項目(抜粋)
① 入国前・入国後の生活オリエンテーション
② 住居の確保支援
③ 生活に必要な契約(銀行・携帯等)のサポート
④ 日本語学習機会の提供
⑤ 相談・苦情対応(母語対応)
⑥ 日本人との交流促進活動
⑦ 非自発的離職時の転職サポート
⑧ 定期面談(3ヶ月に1回以上)
登録支援機関の活用
義務的支援の全部または一部を登録支援機関(出入国在留管理庁に登録された支援専門機関)に委託できます。初めて外国人を採用する企業、多言語対応が難しい企業は登録支援機関の活用が現実的です。
費用相場は月額2〜5万円程度(1名あたり)。自動車運送業の実績がある機関を選ぶことが重要です。
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5.受け入れの流れ(海外ルート・国内ルート)

外国人ドライバーの受け入れには、「海外から招聘するルート」と「国内在住の外国人を採用するルート」の2種類があります。それぞれ手続きの流れ・期間・コストが大きく異なるため、自社の状況に合わせて選択してください。

コスト重視なら「国内在住者採用」が有利
すでに日本在住で試験に合格し、日本の運転免許も取得済みの外国人を採用できれば、送り出し機関への手数料・入国費用・免許取得費用などが不要となり、採用コストを大幅に抑えられます。ただし、現時点では自動車運送業分野の即戦力は数が少ないため、選択肢が限られる場合もあります。長期的な採用計画としては、両ルートを並行して検討することをお勧めします。
6.受け入れにかかる費用の目安

外国人ドライバー受け入れを検討するうえで、気になるのが費用です。「日本人採用より高くなるのでは?」という不安を持つ企業も多いですが、適切にコントロールすれば中長期的には人件費の安定化に寄与するケースも少なくありません。

参考:各種人材紹介会社公表データをもとに作成。費用は送り出し国・紹介会社・各種状況により異なります。
採用ルート | 費用目安(1名) | メリット | デメリット |
海外招聘ルート | 80〜110万円 | 選択肢が広い。意欲の高い人材が多い | コスト高。業務開始まで時間がかかる |
国内在住者採用 | 30〜60万円 | コスト安。採用から業務開始が早い | 候補者数が限られる。競合他社との競争が激しい |
「安く採れる」という誤解に注意
特定技能外国人の給与は、日本人と同等以上でなければなりません。「外国人だから安く雇える」という認識は法令違反につながり、行政指導や在留資格の取り消しリスクがあります。また、低賃金設定は離職率の上昇と再採用コストの増大を招き、長期的に見て割高になります。適正な給与設定が定着の大前提です。
7.外国人ドライバー受け入れのメリットと注意点

受け入れの4つのメリット

メリット① 即戦力となる若手人材の確保
特定技能で来日する外国人ドライバーの多くは20〜30代。ドライバー高齢化が進む業界において、若い即戦力を安定的に確保できるのは大きな強みです。体力・適応力も高く、長期就労を見据えた採用計画が立てやすくなります。
メリット② 最長5年間の安定雇用(2号取得で無期限)
特定技能1号は最長5年間の就労が可能です。将来的に特定技能2号の制度が整備されれば、在留期限なしで長く活躍してもらえます。「採用するたびに辞めてしまう」という悩みを減らし、人員計画を安定させることができます。
メリット③ 職場の活性化・国際化
外国人ドライバーの受け入れを機に、業務マニュアルの整備・多言語対応・安全教育の強化など、職場全体の仕組みが改善されるケースが多く報告されています。異文化理解が進み、日本人従業員の意識向上にもつながることがあります。
メリット④ 紹介による採用コストの逓減
定着した外国人ドライバーが母国の知人・友人を紹介してくれる「リファラル採用」が生まれやすくなります。紹介者が職場に満足していれば、紹介された人材も定着しやすく、採用コストを抑えながら人材を継続的に確保できる好循環につながります。
受け入れ前に知っておきたい4つの注意点

注意点① 免許取得・切り替えに時間がかかる
外国免許を日本の免許に切り替える「外免切替」は、取得した国・免許の種類によって難易度が異なります。特定活動55号での準備期間中は業務に就けないため、業務開始まで最大1年かかるケースもあります。採用計画には十分な余裕が必要です。
注意点② コミュニケーションサポートの継続が必要
N4・N3レベルの日本語能力があっても、業務上の専門用語・日本特有の職場文化・「空気を読む」コミュニケーションへの対応には継続的なサポートが必要です。多言語マニュアルの整備や母語で相談できる窓口の設置が定着率向上に直結します。
注意点③ 定期報告・行政手続きが発生する
特定技能外国人を雇用すると、出入国在留管理庁への定期届出(3ヶ月に1回)や、雇用状況変更時の随時届出が義務付けられます。人事担当者の業務負担が増えるため、登録支援機関に委託するか、社内での管理体制を整えておくことが重要です。
注意点④ 交通安全教育の徹底が企業責任
外国人ドライバーが日本の交通ルールや道路事情に不慣れな場合、事故リスクが高まります。採用後の初任者安全教育・交通法規の母語解説・ドライブレコーダーの活用など、企業として安全管理の責任を果たすことが求められます。
受け入れ成功企業が共通して実践していること
採用前に労働条件・業務内容を母語で明確に説明し、期待値のズレをゼロにしている
入社初日から生活基盤(住居・銀行・行政手続き)を整えるサポートを行っている
日本人ドライバーと同等以上の給与水準を設定し、昇給の仕組みを可視化している
定期的な個別面談で、仕事・生活両面の悩みを早期にキャッチしている
登録支援機関と連携し、専門的な支援を分担している
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8.よくある質問(FAQ)

技能実習生をトラックドライバーとして採用できますか?
できません。自動車運送業は技能実習制度の対象職種ではなく、技能実習生にドライバー業務を行わせることは不法就労となります。外国人ドライバーの採用には特定技能1号(自動車運送業)または身分系在留資格(永住者・定住者等)が必要です。
特定技能1号の外国人ドライバーはいつから実際に運転業務ができますか?
日本の運転免許を取得し、在留資格が「特定技能1号」に変更された後から業務が可能です。特定活動55号(準備活動)の期間中は運転業務に就くことができません。海外から招聘する場合、業務開始まで6ヶ月〜1年程度の準備期間を見込んでください。
特定技能評価試験はどこで受けられますか?
自動車運送業分野の特定技能評価試験は、一般財団法人日本海事協会が実施しています。国内外で試験が開催されており、今後も試験会場・実施頻度の拡大が予定されています。最新の試験日程は日本海事協会の公式ポータルサイトでご確認ください。
Gマークを取得していない場合、外国人ドライバーは採用できませんか?
トラック運送業者の場合、Gマークの代わりに「働きやすい職場認証制度(一つ星以上)」を取得していれば受け入れ可能です。どちらか一方を満たしていれば要件を充足します。バス・タクシー事業者は「働きやすい職場認証制度」の取得が必須です(Gマークは対象外)。
外国人ドライバーが交通事故を起こした場合、企業はどのような責任を負いますか?
外国人・日本人を問わず、使用者責任として企業が損害賠償責任を負う場合があります。また、安全教育の不十分さが問われるケースもあります。採用後の初任者安全研修の実施、交通法規の母語での説明、ドライブレコーダーの活用など、企業として安全管理体制を整えることが重要です。
特定技能2号(自動車運送業)はいつから始まりますか?
2025年3月時点で、自動車運送業の特定技能2号に関する制度の詳細は整備中です。2号が創設されると在留期限なしで就労・家族帯同も可能になるため、長期定着の観点から大きな意味を持ちます。最新情報は出入国在留管理庁の公式ページでご確認ください。
登録支援機関を使わなくても外国人ドライバーを受け入れられますか?
可能です。ただし、義務的支援10項目の全てを自社で対応できる体制が必要です。外国人採用の実績がなく、多言語対応が難しい企業は、登録支援機関への委託を強くお勧めします。委託費用(月2〜5万円程度)を含めてもトータルコストは十分回収できます。
9.まとめ

外国人ドライバーの受け入れは、深刻化する運送業界の人手不足に対する今最も有効な解決策のひとつです。2024年3月に特定技能「自動車運送業」が新設され、制度的な基盤が整いました。ここで本記事のポイントを整理します。
この記事のまとめ
2024年に特定技能「自動車運送業」が新設。トラック・バス・タクシーの3区分があり、各区分で要件が異なる
企業側の要件は「事業許可・職場環境認証・協議会加入・義務的支援・適正処遇」の5点
外国人側の要件は「評価試験合格・日本語試験・日本の運転免許取得(+バス・タクシーは新任研修)」
海外招聘ルートは費用80〜110万円・期間6ヶ月〜1年、国内採用ルートは費用30〜60万円・期間2〜4ヶ月が目安
低賃金・支援体制不備は離職率上昇を招く。適正処遇と生活サポートが定着の鍵
2027年問題を見据え、今から採用・受け入れ体制を整えることが競争優位につながる
「まず何から始めればいいかわからない」という場合は、
①自社の認証取得状況の確認→②登録支援機関または人材紹介会社への相談→③採用計画の策定の順で進めることをお勧めします。
外国人ドライバーの受け入れは、単なる人手不足対策にとどまらず、職場環境の整備・組織改善・長期的な人材確保戦略として取り組むことで、企業全体の成長につながります。「2027年問題」が本格化する前に、今から準備を始める企業が、数年後に圧倒的な優位を手にするでしょう。





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