【2026年最新】運送業の人手不足の原因を徹底解説|データと外国人材活用による解決策
- 高橋 壮
- 1月13日
- 読了時間: 8分

目次:
「求人を出してもドライバーからの応募が全く来ない」
「2024年問題をなんとか乗り越えたが、現場の疲弊が限界に近い」
運送業界における人手不足は、もはや一企業の努力だけでは解決できない構造的な危機に直面しています。2024年の法改正を経て、2025年、2026年と進む中で、物流の停滞は現実味を帯びてきました。
なぜ運送業だけがこれほど深刻な人手不足に陥るのでしょうか?単なる「少子高齢化」だけでは説明がつかない業界特有の事情と、そこから抜け出すための具体的な解決策が必要です。

1.運送業の人手不足の原因を全体像から理解

まず、運送業が直面している人手不足の全体像を把握しましょう。この問題は、「人が来ない」という採用の入り口の問題と、「人が辞めていく」という定着の問題、そして「運ぶ荷物が増え続けている」という需要の問題が複雑に絡み合っています。
運送業の人手不足は当たり前といわれる理由
業界内では「人手不足は当たり前」という諦めの声さえ聞かれますが、これには明確な構造的理由があります。
第一に、労働人口の減少と業界構造のミスマッチです。日本の生産年齢人口が減少する中で、運送業は依然として「労働集約型」のビジネスモデルから脱却できていません。自動運転やドローン配送の実証実験は進んでいますが、2026年現在の実務において、ラストワンマイルや幹線輸送の大部分は、依然として人の手と運転技術に依存しています。
第二に、「2024年問題」による労働時間規制の影響です。働き方改革関連法により、自動車運転業務の年間時間外労働時間が上限960時間に規制されました。これはドライバーの過労を防ぐための重要な措置ですが、経営視点で見れば「1人のドライバーが運べる量が減った」ことを意味します。これまで長時間労働でカバーしていた輸送力を維持するためには、より多くの人数が必要になったのです。
ドライバー不足は嘘なのかという誤解
インターネット上では時折、「ドライバー不足は嘘だ」「仕事がないドライバーもいる」といった意見が見られます。なぜこのような誤解が生まれるのでしょうか。


2.運送業の人手不足の原因をデータで確認

感覚的な話ではなく、公的機関が発表している最新データに基づいて、事態の深刻さを確認してみましょう。
物流業界の人手不足データが示す現実
国土交通省および厚生労働省のデータによると、運送業界の労働環境と需給バランスは、他産業と比較して極めて厳しい状況にあります。
トラックドライバー数:2015年の約83万人から減少傾向にあり、このまま対策を講じなければ2030年には約25万人が不足すると予測されています。
有効求人倍率:全職業平均が約1倍強で推移する中、自動車運転の職業は約2.18倍(※時期により変動あり)と、2倍以上の高水準で推移しており、採用難易度が極めて高い状態です。
年間労働時間:全産業平均(約2,052時間)と比較して、トラックドライバー(大型)は約2,484時間と、約2割も長く働いています。
年間所得額:全産業平均と比較して、トラックドライバーの所得は約5〜10%低い傾向にあります。

物流業界の人手不足グラフから読む傾向
以下の表は、全産業平均とトラック運送業の労働条件を比較したものです。

物流人手不足を国土交通省が示す見解
国土交通省は、「物流の2024年問題」に続く将来予測として、さらに深刻なシナリオを提示しています。
2024年度の不足:何も対策をしなかった場合、輸送能力の約14%が不足する(約4億トン分の荷物が運べなくなる)。
2030年度の予測:このまま推移すれば、輸送能力の約34%(約9億トン相当)が不足する可能性がある。
また、人手不足を加速させる要因として「荷待ち時間・荷役時間」の問題を挙げています。トラックドライバーの1運行あたりの拘束時間のうち、約3割が荷待ちや荷役(積み降ろし)作業に費やされており、これが「運転手が運転に集中できない」という非効率を生んでいます。
3.運送業の人手不足の原因とドライバー問題

なぜここまでドライバーが集まらないのか。その背景には、複合的な要因が存在します。
ドライバー不足はなぜ起きるのか
1. 長時間労働と低賃金の常態化
前述のデータの通り、拘束時間が長い割に賃金が上がりにくい構造があります。多重下請け構造により、末端の運送会社に支払われる運賃が抑制され、それがドライバーの給与に反映されない現状があります。
2. 高齢化と若手不足の深刻化
ドライバーの平均年齢は50歳に迫りつつあります。若年層にとって、「きつい・汚い・危険」という旧来のイメージが払拭しきれていないことに加え、普通免許で乗れるトラックが限定されたこと(準中型免許の新設など)も、若者のエントリー障壁となっています。
3. 免許取得費用の高さ
大型免許やフォークリフト免許の取得には数十万円の費用と時間がかかります。未経験者が気軽に挑戦するにはハードルが高く、企業側が取得費用を負担する制度があっても、拘束期間中の給与保証などの問題が残ります。
4. EC需要拡大による業務量増加
Amazonや楽天などのEC市場拡大により、小口配送の荷物が激増しました。これにより、1人のドライバーが捌かなければならない配送個数が増え、再配達の負担も重なり、労働環境をさらに圧迫しています。
4.運送業の人手不足の原因は倉庫にも影響

運送業の人手不足は、トラックを運転するドライバーだけの問題ではありません。物流の結節点である「倉庫」でも同様に深刻な事態が起きています。
倉庫の人手不足理由と現場課題
倉庫業の人員不足率15.9%予測
一部の調査では、倉庫内の作業員も将来的に大幅に不足すると予測されています。倉庫内でのピッキング、梱包、検品、フォークリフト作業は、自動化が進んでいるとはいえ、依然として人手に頼る部分が大きいのが実情です。
荷待ち・荷役作業の非効率性
倉庫の人手が足りないと、トラックへの積み込みや荷降ろしに時間がかかります。これがドライバーの「荷待ち時間」を発生させ、結果としてトラックの回転率を下げ、輸送力不足をさらに悪化させるという悪循環を生んでいます。
EC市場拡大による物流倉庫不足
即日配送や翌日配送を実現するために、消費地の近くに物流拠点を構えるニーズが高まっています。拠点は増えても、そこで働くスタッフ(庫内作業員・管理者)の採用が追いついていないのが現状です。
5.運送業の人手不足の原因と企業の対応

この危機的状況に対し、大手企業を中心に様々な対策が講じられています。
ヤマト運輸の人手不足対策に見る工夫
業界最大手のヤマト運輸も、人手不足への対応を急ピッチで進めています。特に注目すべきは、これまで慎重だった外国人材の活用への動きです。
外国人材の積極採用:2024年以降、ヤマト運輸は特定技能制度などを活用し、ドライバーや庫内作業員として外国人を数百人規模で採用する計画を進めていると報じられています。ベトナムなどで事前の教育プログラムを実施し、日本の交通ルールや接遇マナーを教育した上で受け入れる体制を構築しています。
業務効率化・DX推進:配送ルートのAI最適化や、置き配の推奨、宅配ロッカーの普及により、ドライバーの負担軽減を図っています。
多様な働き手の活用:フルタイムの正社員だけでなく、隙間時間を活用したスポットワーカーや、パートタイマーの主婦層などが配送を担える仕組み(EAZY CREW等)を導入しています。
運送業界が人手不足に陥る理由は何ですか?
改めて整理すると、運送業界が人手不足に陥る根本理由は、「商慣行」と「社会インフラとしての責任」の板挟みにあります。荷主(荷物を送る側)の立場が強く、運賃の値上げやリードタイムの延長が認められにくい商慣行が長年続いてきました。一方で、「物流は止まってはならない」というインフラとしての責任感から、現場の長時間労働でなんとか耐えてきた歪みが、人口減少によって限界を迎えたと言えます。
労働力不足の原因は?
日本全体の少子高齢化という抗えない波に加え、運送業特有の「労働環境の過酷さ」と「業界イメージ」が、新規入職者を遠ざけています。給料を上げようにも原資(運賃)が上がらず、労働時間を短くすれば荷物が運べなくなる。このジレンマこそが、労働力不足の根本原因です。
6.まとめ:特定技能外国人材が運送業界の人手不足解決の鍵

運送業の人手不足は、一時的な現象ではなく、今後さらに加速する構造的な課題です。
2024年問題・2030年問題:労働時間規制と人口減少により、輸送能力は危機的に低下しています。
国内人材の採用難:若手の減少と業界イメージにより、日本人ドライバーの採用は限界を迎えつつあります。
待ったなしの状況:業務効率化やDXだけでは埋められない「労働力の絶対数不足」が存在します。
新たな解決策としての「特定技能外国人材」
こうした中、2024年の制度改正により、「自動車運送業」が特定技能制度の対象分野に追加されました。これにより、一定の技能と日本語能力を持つ外国人材を、トラックドライバーとして正式に雇用することが可能になりました。









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