【2026年最新】運送業のビザ完全ガイド|特定技能で外国人ドライバーを雇用する条件と手続き
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「ドライバーが集まらない」「2024年問題で輸送量が足りない」と頭を抱えていませんか。深刻な人手不足に直面する運送業界で、いま注目されているのが外国人ドライバーの活用です。2024年3月の閣議決定により、特定技能に「自動車運送業」が追加されたことで、外国人が合法的にトラック・タクシー・バスの乗務員として働ける道が整いました。この記事では、ビザの種類・区分別の取得条件・企業の受入要件・採用フロー・つまずきポイントまで、実務に直結する情報を徹底解説します。
📋 目次
1.運送業のビザ制度——まず押さえる基礎知識
外国人を運送業で雇用する際、在留資格(ビザ)の種類を正しく理解することが最初のステップです。在留資格によって「できる仕事の範囲」が法律で厳格に定められており、誤った在留資格で就労させると雇用主が不法就労助長罪に問われる可能性があります。まず運送業で活用できる主な在留資格の全体像を把握しましょう。

在留資格の種類と就労範囲の対比
「外国人を雇いたい」と思っても、その方が持っている在留資格によってできる業務がまったく異なります。特に「技術・人文知識・国際業務」(技人国)は専門職向けであり、ドライバー業務には使えません。採用前に在留カードを確認し、業務内容が許容範囲内かを必ず確認してください。
在留資格 | 運転業務 | 主な対象者 | 注意点 |
特定技能1号(自動車運送業) | ✅ 事業用車両の運転可 | 試験合格・免許取得済みの外国人 | 直接雇用・フルタイムのみ。派遣不可 |
特定活動55号 | ❌ 営業運転不可 | 来日後に免許取得を目指す外国人 | 免許取得前の準備期間。期間中は清掃等の付随作業のみ |
永住者・定住者・配偶者等(身分系) | ✅ 制限なく運転可 | 永住資格・日本人の配偶者など | 日本の運転免許と業種別要件は必要 |
技術・人文知識・国際業務 | ❌ 運転業務不可 | 通訳・管理・ITエンジニアなど | 現場でのドライバー業務に使用すると不法就労 |
留学・家族滞在 | ❌ 原則不可 | 留学生・在日外国人の家族 | 資格外活動許可で週28時間以内の補助作業は可能だが、乗務は不可 |

2.特定技能「自動車運送業」の制度概要と2024年問題

特定技能「自動車運送業」は、2024年3月の閣議決定によって新設された在留資格です。従来の特定技能12分野に自動車運送業を含む4分野が追加され、外国人がトラック・タクシー・バスの乗務員として働ける道が初めて正式に整備されました。制度の背景には、「2024年問題」と呼ばれる深刻な構造的危機があります。

特定技能「自動車運送業」の対象はトラック・タクシー・バスの3区分で、それぞれに運転業務と付随業務(荷役・接遇・車両点検など)が認められます。在留期間は通算で最長5年間、雇用形態は直接雇用のフルタイムのみで派遣は認められていません。


3.区分別(トラック・タクシー・バス)の取得条件を比較
特定技能「自動車運送業」は3つの区分で要件が大きく異なります。特にタクシー・バス区分はトラックよりも日本語能力・免許・研修の要件が厳しく設定されています。採用計画を立てる前に、区分ごとの条件を正確に把握しておきましょう。
要件項目 | トラック区分 | タクシー区分 | バス区分 |
特定技能評価試験 | 自動車運送業特定技能評価試験(トラック) | 自動車運送業特定技能評価試験(タクシー) | 自動車運送業特定技能評価試験(バス) |
日本語能力 | N4以上 またはJFT-Basic | N3以上 (原則) | N3以上 (原則) |
必要な運転免許 | 第一種運転免許 (普通/準中型/中型/大型) | 第二種運転免許 | 第二種運転免許 |
新任運転者研修 | 不要 | 必須 | 必須 |
主な従事業務 | 運転+荷役(積み下ろし)・車両点検 | 旅客運送・接遇・車両点検 | 旅客運送・接遇・車両点検 |
技能実習2号修了による免除 | ✅ 技能試験・日本語試験ともに免除 | 対象外 | 対象外 |
特定活動55号の準備期間 | 最長6か月 | 最長1年 | 最長1年 |
タクシー・バス区分の日本語要件が「原則N3以上」とされているのは、乗客との直接的なコミュニケーションが安全運行に直結するためです。N3は「日常的な場面で使われる日本語をある程度理解できる」水準であり、N4と比べてハードルが高くなります。採用候補者の日本語力を早期に把握し、必要に応じて事前研修を計画に組み込むことが重要です。
4.外国人本人の取得要件と試験対策

特定技能評価試験の概要
自動車運送業分野の特定技能評価試験は、一般財団法人日本海事協会が実施しており、2024年12月から本格的な申請受付が始まりました。トラック・タクシー・バスの3区分それぞれに専門の試験が設けられており、合格後に在留資格申請へと進む流れです。

試験対策の3ステップ
1公式の試験実施要領でスコープを把握する
日本海事協会が公開している試験実施要領(令和6年12月施行版)とサンプル問題を起点に、出題範囲を確認します。公式情報ベースで学習することで、出題傾向のズレが最小化されます。
💡 サンプル問題は日本海事協会の公式サイトからダウンロードできます
2分野別に知識を整理する
運行管理・道路交通法・荷役の基礎(トラック区分)または接遇マナー(タクシー・バス区分)をテーマ別に学習します。道路交通法は区分問わず共通の重要分野です。
3日本語能力試験の対策を並行して進める
JLPTのN4・N3向けには市販テキスト・模擬問題集・YouTube解説動画など教材が豊富にそろっています。海外からの応募者は、現地送出機関の研修プログラムを活用するケースも多くあります。
💡 登録支援機関に相談すると日本語学習のサポート先を紹介してもらえます

5.特定活動55号——免許なし招聘の準備期間を活用する
特定技能「自動車運送業」で営業運転をするには、日本の運転免許が必須です。しかし、外国で免許を持っている方であっても、国際運転免許証では事業用自動車の乗務ができません。そこで登場するのが2025年に新設された「特定活動55号」です。これは来日後に日本の運転免許を取得するための準備期間として認められる在留資格で、企業が外国人材を海外から招聘する際の重要な橋渡し役となります。


なお、2025年10月から外国免許切替(外免切替)の審査が厳格化されました。外国での運転経歴の証明書類に不備があると切替が認められないケースがあるため、来日前から書類の準備を支援しておくことを強くおすすめします。
6.企業が整えるべき受入要件5つ

特定技能外国人を採用できるのは、一定の要件を満たした運送事業者に限られます。要件を1つでも満たさない場合、在留資格申請が受理されません。採用活動と並行して企業側の準備を早めに進めることが採用成功のカギです。
1道路運送法上の自動車運送事業者であること
一般貨物自動車運送事業・一般旅客自動車運送事業の許可を受けた事業者であることが前提。許可取得後3年以上が経過していることが求められるケースもあります。
2「Gマーク」または「働きやすい職場認証」を取得していること
安全性や労働環境が一定水準を満たした企業だけが外国人を受け入れられる仕組みです。どちらか一方の取得で要件を満たします(タクシー・バスは働きやすい職場認証のみ)。
3「自動車運送業分野特定技能協議会」へ加入していること
受入れ開始前に加入届出書を提出し、構成員資格証明書を取得する必要があります。確認に約1か月かかるため、採用スケジュールを逆算して早めに手続きしましょう。
4日本人と同等以上の報酬・待遇を確保していること
同種の業務に従事する日本人と比較して、報酬・労働時間・休日等の条件を同等以上にすることが義務付けられています。賃金規定の整備と証明書類の準備が必要です。
5支援計画を作成し、生活・就労サポート体制を整備していること
外国人が日本で安定して生活・就労できるよう、入国時の出迎えから住居確保・日本語学習支援・相談窓口の設置まで10項目の支援義務があります。登録支援機関への委託も可能です。
Gマーク・働きやすい職場認証の取得について
GマークはトラックのみでAAトラック協会が実施する安全性優良事業所認定です。事業許可から3年以上、配置車両5台以上などの基準があり、事業所単位での取得となります。一方の働きやすい職場認証は日本海事協会が運営し、法令遵守・労働時間・多様な人材確保など6分野を評価します。申請期間が限られているため、年間スケジュールに組み込んで計画的に準備することが重要です。
📖外国人採用の受入要件整備についてのご相談は
7.採用フロー——国内在留者と海外招聘で異なる流れ
外国人ドライバーの採用は「国内にすでに在留している方を採用するケース」と「海外から招聘するケース」で手続きと所要期間が大きく異なります。いずれのルートでも最短3〜6か月はかかるため、欠員が出てから動くのでは遅すぎます。計画的に準備を進めることが肝要です。
国内在留者の採用フロー(目安:3〜4か月)

海外招聘の採用フロー(目安:6〜12か月)
海外から招聘する場合、日本の免許を持っていないことがほとんどのため、特定活動55号を活用した準備期間が加わります。在外公館でのビザ申請や査証取得にも時間がかかるため、国内採用より3〜6か月多く見込む必要があります。

8.よくあるつまずきポイントと対策

特定技能「自動車運送業」は2024年に新設されたばかりの制度のため、実務での経験値が少なく、初めて取り組む企業がつまずきやすいポイントがあります。事前に把握し、対策を立てておきましょう。

9.将来展望——特定技能2号の動向と長期雇用の可能性
現時点では自動車運送業における特定技能2号はまだ実現していません。しかし業界団体からの強い要望を受け、政府は検討を続けています。特定技能2号が実現すれば、在留期間の上限がなくなり家族帯同も可能になるため、外国人ドライバーが日本で長期的なキャリアを形成できるようになります。

2号への拡大が決まる前でも、企業側が今できる準備があります。特定技能1号の5年間を単なる「時間つぶし」にせず、日本語能力の向上・安全運転の実績積み上げ・チームリーダーとしてのスキル育成といったキャリアパスを提示することで、優秀な人材の定着率が高まります。

10.よくある質問(FAQ)

Q. 外国籍のドライバーを雇ったが、在留カードに「特定技能」と書いてあれば運転させてよいですか?
在留カードの「就労制限の有無」欄が「就労制限なし」または在留資格欄が「特定技能」と確認できても、自動車運送業分野であるかどうかを必ず確認してください。特定技能は分野ごとに従事できる業務が異なります。「特定技能(介護)」の方を運送業に就労させることは不法就労になります。在留カードに加え、雇用契約書・指定書(在留資格の分野を記した書類)も確認することを徹底してください。
Q. 技能実習生として働いていた方をドライバーとして採用できますか?
技能実習2号を良好に修了した方は、トラック区分に限り特定技能評価試験と日本語試験が免除されます。ただし日本の運転免許(第一種)の取得は別途必要です。技能実習の職種が自動車整備や機械加工など運送と異なる場合でも、トラック区分は「関連のある技能実習2号」の要件が緩和されているため対象になる可能性があります。個別の状況については専門家に確認することをおすすめします。
Q. 登録支援機関(RSO)を使わなければいけませんか?
登録支援機関の利用は義務ではありません。支援計画に定められた10項目の支援を自社で実施できると判断する場合は、自社支援が認められます。ただし初めて特定技能外国人を受け入れる企業では、書類不備や要件の見落としリスクを避けるためにも、少なくとも最初の1〜2名は登録支援機関に委託することを強く推奨します。費用は月2〜5万円程度が目安です。
Q. 採用に最短でどれくらいの期間がかかりますか?
国内にすでに在留していて、試験合格済み・免許取得済みの方であれば、協議会加入(1か月)+在留資格変更申請(1〜2か月)の合計で最短3か月程度が目安です。海外から招聘する場合は、特定活動55号での来日から免許取得、在留資格変更まで最長12〜18か月かかるケースもあります。採用活動は余裕をもって早めに着手することが重要です。
11.この記事のまとめ
運送業で外国人ドライバーを雇用するには、特定技能1号(自動車運送業)が中心的なビザ。直接雇用・フルタイムのみで最長5年間
区分はトラック・タクシー・バスの3つ。タクシー・バスは日本語N3以上と第二種免許・新任研修が必要でトラックより要件が厳しい
日本の免許がない状態で海外から招聘する場合は、特定活動55号(準備期間:トラック6か月・タクシー/バス1年)を活用する
企業の受入要件は5つ:①道路運送法上の事業者 ②Gマーク/働きやすい職場認証 ③協議会加入 ④同等以上の待遇 ⑤支援計画の整備
協議会加入に約1か月かかるため、採用活動と並行して早めに手続きを始めることが採用スケジュール遅延を防ぐ鍵
技能実習2号修了者はトラック区分の評価試験と日本語試験が免除。既存の技能実習生をドライバーとして採用するルートは特に有効
特定技能2号の自動車運送業への拡大は検討中。今から1号の5年間でキャリアパスを設計し、定着率を高めておくことが重要





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