特定技能ドライバーはいつから運転できる?在留資格別に解説|特定活動と特定技能1号の違い
外国人ドライバーの採用を検討する運送会社にとって、「採用後、いつからトラックを運転できるのか」は重要な問題です。
特に注意したいのが、「特定活動」と「特定技能1号」では、認められる運転の範囲が異なることです。
日本の運転免許を取得していても、すぐに配送業務を任せられるとは限りません。
在留資格の変更手続きや運転者教育など、確認すべき条件があるためです。
採用計画を立てる際は、入国日だけでなく、実際に乗務を開始できる時期を見込む必要があります。
本記事では、2026年10月時点の公的情報をもとに、在留資格ごとの運転可能な範囲と、運送会社が準備すべき事項を整理します。

目次
1. 特定技能ドライバーはいつから運転できる?
結論として、特定技能ドライバーが配送業務を開始するには、必要な日本の運転免許と、就労を認める在留資格が必要です。 運転免許の取得だけでは、運送業務を開始できません。
在留資格によって運転できる範囲が異なる
外国人ドライバーの受入れでは、主に次の2つの在留資格を理解する必要があります。
特定活動(特定自動車運送業準備)
特定技能1号(自動車運送業分野)
「特定活動」は、日本の運転免許を取得するための準備期間に利用する在留資格です。
一方、「特定技能1号」は、要件を満たした外国人がトラックなどの運送業務に従事するための在留資格です。
比較項目 | 特定活動(準備) | 特定技能1号 |
主な目的 | 日本の免許取得などの準備 | 運送業務への従事 |
教習所での運転 | 可能 | 可能 |
公道での運転研修 | 条件付きで可能 | 可能 |
荷物の配送業務 | 不可 | 可能 |
トラック分野の在留期間 | 6か月・更新不可 | 原則として通算上限5年 |
必要な日本の免許 | 取得準備中でも可 | 業務に対応した免許が必要 |
※公道での運転には、車両に対応する有効な運転免許が必要です。
※特定活動中の公道研修は、運送業務としての性質を持たないものに限られます。
出典:出入国在留管理庁「特定活動(特定自動車運送業準備)」、国土交通省「自動車運送業分野 特定技能Q&A」(2026年確認)。
採用日と乗務開始日は分けて考える
運送会社が注意したいのは、雇用契約を締結した日と、実際に配送業務を開始できる日が異なる点です。
例えば、海外から人材を採用する場合、入国後に日本の運転免許を取得する期間が必要になることがあります。
さらに、免許取得後も在留資格の変更手続きが必要です。
そのため、採用計画では「入社予定日」と「乗務開始予定日」を分けて管理することをおすすめします。
2. 在留資格「特定活動」で認められる運転とは
特定活動の期間中でも、条件を満たせば公道での運転研修は可能です。 ただし、荷物を運ぶ配送業務は認められません。
特定活動は日本の免許取得に向けた準備期間
自動車運送業分野には、「特定自動車運送業準備」という特定活動があります。
この在留資格は、外国人が日本の運転免許を取得するために設けられたものです。
トラックドライバーの場合、在留期間は6か月で、更新はできません。
特定活動中に認められる主な活動は、次のとおりです。
日本の運転免許取得に必要な手続き
自動車教習所での教習
車両の清掃などの関連業務
条件を満たした運転研修
出典:出入国在留管理庁「特定活動(特定自動車運送業準備)」(2026年確認)。
日本の免許取得後なら公道研修も可能
ここは運送会社が特に理解しておきたいポイントです。
国土交通省の「自動車運送業分野 特定技能Q&A」では、特定活動から特定技能1号への変更申請中の運転研修について説明されています。
公道での運転が研修・教育の一環であり、運送業務としての性質を持たない場合は、実施しても差し支えないとされています。
つまり、日本の免許を取得した外国人に対し、特定活動中に運転研修を行うことは可能です。
ただし、研修という名称であっても、実際に顧客の荷物を配送する業務は認められません。
運転・作業の内容 | 特定活動中の可否 |
教習所での免許取得訓練 | 可能 |
日本の免許取得後の公道研修 | 条件付きで可能 |
指導者が同乗する教育目的の運転 | 条件付きで可能 |
顧客の荷物を運ぶ配送業務 | 不可 |
営業用トラックによる通常の運送業務 | 不可 |
車両清掃などの関連業務 | 可能 |
※公道研修は、業務の実態によって判断されます。研修内容を事前に整理しておくことが重要です。
出典:国土交通省「自動車運送業分野 特定技能Q&A」問14(2026年公表資料)。
運送会社は研修内容を記録しておく
特定活動中に公道研修を行う場合、配送業務との違いを明確にする必要があります。
例えば、研修の目的、走行ルート、指導内容、担当者などを記録する方法が考えられます。
通常の配送業務と区別できる研修計画を作成しておくと、社内でも管理しやすくなります。
3. 「特定技能1号」への変更後はいつから配送できる?
特定技能1号への在留資格変更が許可され、必要な免許と乗務条件が整えば、配送業務に従事できます。 ただし、許可が出た当日に、必ず一人で乗務できるわけではありません。
在留資格の変更申請中は配送できない
特定活動から特定技能1号への変更申請を行っても、申請しただけでは配送業務を開始できません。
変更が許可されるまでは、従前の特定活動で認められた範囲で活動する必要があります。
例えば、普通免許を取得して特定技能1号への変更申請を行った場合でも、許可前に配送業務を任せることはできません。
運送会社は、変更申請日ではなく、変更許可を受けた日を基準に乗務開始の準備を進める必要があります。
普通免許だけで大型トラックは運転できない
特定技能1号の要件として、トラック分野では日本の第一種運転免許が求められます。
しかし、第一種運転免許を取得していても、すべてのトラックを運転できるわけではありません。
実際に運転する車両の大きさに対応した免許が必要です。
日本の運転免許 | 車両総重量 | 最大積載量 |
普通免許 | 3.5t未満 | 2t未満 |
準中型免許 | 7.5t未満 | 4.5t未満 |
中型免許 | 11t未満 | 6.5t未満 |
大型免許 | 11t以上の車両を含む | 6.5t以上の車両を含む |
※上記は現行の免許区分の基本的な数値です。乗車定員や免許取得時期による条件も確認してください。
特に、4tトラックや10tトラックを運転させる場合は注意が必要です。
外国人本人が普通免許しか持っていなければ、車両に応じた中型免許や大型免許の取得が必要になります。
国土交通省のQ&Aでは、特定活動中に普通免許などを取得した後、速やかに特定技能1号への変更申請を行うこととされています。
また、変更手続き中に中型免許や大型免許の教習を受けることも認められています。
出典:国土交通省「自動車運送業分野 特定技能Q&A」問7・問26(2026年公表資料)。
乗務前には安全教育も必要
在留資格と運転免許の条件を満たした後も、運送会社には安全運行のための対応が求められます。
例えば、次のような準備が考えられます。
新任運転者への指導・教育
必要な適性診断の受診
車両点検や日常点検の説明
運行ルートや納品先の確認
点呼や事故発生時の対応方法の共有
外国人ドライバーだから特別な制度が必要というわけではありません。
日本人ドライバーと同様に、法令で定められた安全管理を行う必要があります。
言語面の理解度も確認しながら、段階的に独り立ちを判断することが重要です。
4. 日本の運転免許を取得するまでの流れ
海外で運転経験があっても、日本の運転免許を自動的に取得できるわけではありません。 日本で運転するには、外免切替などの手続きを行う必要があります。
外免切替とは?
外免切替とは、外国で取得した運転免許をもとに、日本の運転免許を取得する制度です。
一定の条件を満たすことで、日本の運転免許試験の一部が免除されます。
ただし、申請には次のような条件があります。
有効な外国の運転免許を保有している
免許取得後、その国に通算3か月以上滞在している
必要な書類を提出できる
必要な知識・技能の確認を受ける
外免切替の申請は、日本での住所地を管轄する運転免許センターなどで行います。
出典:警察庁「外国の運転免許をお持ちの方」(2026年確認)。
外免切替の予約・試験期間に注意
外免切替には、書類の準備だけでなく、試験や予約の調整も必要です。
2025年には外免切替の審査厳格化に向けた見直しが進められました。
知識確認の問題数増加や、技能確認の審査強化などが示されています。
そのため、運送会社は「海外で運転経験があるから、短期間で免許を取得できる」と考えないことが重要です。
免許取得に必要な期間は、本人の技能や申請先の予約状況などによって異なります。
出典:警察庁「外免切替手続の見直し」(2025年公表資料)。
大型免許を取得する場合は運転経歴も確認
大型免許や中型免許を取得する場合、運転経歴などの受験資格も確認する必要があります。
国土交通省のQ&Aでは、海外での運転経歴も一定の条件のもとで加算できるとされています。
ただし、海外での運転経歴を証明する書類が必要です。
免許証だけで経歴を確認できない場合は、運転経歴証明書などが求められることがあります。
採用前に本人の免許取得日や運転経験を確認しておくと、来日後の手続きを進めやすくなります。
5. 入国から乗務開始までのスケジュール
海外から特定技能ドライバーを採用する場合、入国から配送開始までには複数の手続きがあります。 そのため、採用人数だけでなく、いつから稼働できるかを管理する必要があります。
海外採用の場合の基本的な流れ
採用候補者の選考
運転経験、日本語能力、技能評価試験の合格状況を確認
特定活動で来日
日本の運転免許取得に向けた準備を開始
外免切替などで日本の免許を取得
必要な書類、知識確認、技能確認などに対応
特定技能1号への在留資格変更申請
免許取得後、速やかに申請
変更許可・必要な免許の確認
在留資格と乗務予定車両に対応する免許を確認
運転者教育・社内研修
必要な安全教育や適性診断、運転技能の確認を実施
配送業務を開始
乗務条件を満たしたことを確認して配置

トラック分野の特定活動は6か月
トラックドライバーの特定活動期間は6か月です。
この期間は更新できないため、免許取得の計画が重要になります。
ただし、在留期限までに適法な変更許可申請を行った場合、一定の条件のもとで特例期間が認められることがあります。
国土交通省のQ&Aでは、特例期間は最長2か月と説明されています。
これは、免許取得の準備期間を自由に延長できる制度ではありません。
出典:国土交通省「自動車運送業分野 特定技能Q&A」問15(2026年公表資料)。
実際に何か月で乗務開始できる?
一律に「来日から何か月で運転できる」とは断定できません。
理由は、次の条件によって所要期間が変わるためです。
外免切替の予約状況
知識確認・技能確認の合格状況
中型・大型免許の取得が必要か
在留資格変更の審査期間
社内の運転者教育の進捗
例えば、大型トラックの乗務を予定している場合、普通免許の取得後に大型免許の取得期間も考慮する必要があります。
運送会社は、乗務開始日を固定して採用計画を立てるのではなく、複数のシナリオを想定しておくとよいでしょう。
6. 運送会社が注意すべき3つのポイント
特定技能ドライバーの採用では、在留資格、運転免許、安全教育を別々に管理することが重要です。 どれか1つだけ確認しても、乗務開始の判断はできません。
① 免許取得前提の採用計画に余裕を持つ
外免切替は、必ず予定どおりに進むとは限りません。
不合格による再受験や予約待ちが発生する可能性があります。
採用担当者は、本人の免許取得状況を定期的に確認し、配車計画への影響を把握しておきましょう。
② 特定活動中に配送業務を任せない
特定活動は、特定技能1号への移行準備を目的とした在留資格です。
公道での運転研修が認められる場合でも、通常の運送業務とは区別する必要があります。
特に、荷物の配送を伴う場合は注意が必要です。
研修内容に迷う場合は、事前に関係機関へ確認しましょう。
③ 採用前に受入れ企業の要件も確認する
特定技能ドライバーを採用するには、本人だけでなく受入れ企業にも要件があります。
トラック運送業では、主に次の事項が関係します。
対象となる自動車運送事業を営んでいること
自動車運送業分野特定技能協議会に加入すること
働きやすい職場認証制度、またはGマーク制度に関する要件を満たすこと
協議会とは、制度の適正な運用に向けて関係事業者などが参加する組織です。
登録支援機関に支援を委託する場合は、その機関の協議会加入状況も確認する必要があります。
出典:国土交通省「自動車運送業分野 特定技能Q&A」問2・問16〜18(2026年公表資料)。
採用前から運転技能を確認する方法
特定技能ドライバーの採用では、書類上の運転経験だけでなく、実際の運転技能を把握することも重要です。
特ドラWORKSでは、インドネシア人の特定技能ドライバーの紹介を行っています。
現地ではトラックを使用した同乗走行面接を実施し、市街地での運転状況を確認しています。
また、来日前にはインドネシアの自社研修施設で、日本語学習や研修を行っています。
採用前に運転技能や日本語能力を確認したい企業様は、サービス内容をご覧ください。
7. 採用前に確認したいチェックリスト
乗務開始までの遅れを防ぐには、採用前の確認が重要です。 以下の項目を使い、自社の準備状況を確認してみましょう。
受入れ準備チェック
✓ 候補者の現在の在留資格を確認している
✓ 特定技能評価試験と日本語試験の状況を把握している
✓ 海外免許の種類・有効期限・取得日を確認している
✓ 外免切替に必要な書類を確認している
✓ 乗務予定車両に必要な免許区分を確認している
✓ 特定技能協議会や認証制度の要件を確認している
✓ 在留資格変更と運転者教育の予定を組んでいる
✓ 乗務開始日までの配車・人員計画を準備している
すべての項目が完了していなくても、採用の検討を始めることは可能です。
ただし、実際に受け入れる前には、法令上の要件を満たしているか確認してください。
8. よくある質問(FAQ)
Q1. 特定活動の在留資格でもトラックを運転できますか?
条件付きで可能です。
日本の運転免許を取得し、研修・教育の一環として行う運転であれば、公道研修が認められる場合があります。
ただし、配送業務としての運転はできません。
Q2. 日本の普通免許を取得したら、すぐに配送できますか?
いいえ。
普通免許を取得しても、特定活動のままでは配送業務を開始できません。
特定技能1号への在留資格変更許可が必要です。
Q3. 特定技能1号に変更したら大型トラックを運転できますか?
大型トラックを運転するには、対応する大型免許が必要です。
特定技能1号の在留資格だけで、すべてのトラックを運転できるわけではありません。
Q4. 特定活動の6か月以内に免許を取得できなかった場合は?
原則として、特定技能1号への移行要件を満たせません。
特定活動の在留期間も更新できません。
免許取得が遅れる場合に備え、早めに手続きを進めることが重要です。
Q5. インドネシアで大型トラックを運転していた人なら、日本でも大型トラックを運転できますか?
海外での運転経験だけでは、日本の大型トラックを運転できません。
日本の運転免許を取得する必要があります。
なお、海外での運転経歴が、日本の中型・大型免許の受験資格に関係する場合があります。
Q6. 特定活動中に車両の清掃や点検はできますか?
車両の清掃など、制度で認められた関連業務には従事できます。
ただし、通常の運送業務を代替する活動は認められません。
作業内容が認められる範囲に含まれるか、事前に確認しましょう。
Q7. すでに日本に住んでいる外国人も特定活動が必要ですか?
必ずしも必要ではありません。
日本国内で生活している外国人が、必要な試験や日本の運転免許などの要件を満たしている場合、現在の在留資格から特定技能1号への変更を申請する方法があります。
ただし、現在の在留資格や活動状況によって手続きが異なります。
Q8. バスやタクシーの特定技能ドライバーも同じ制度ですか?
基本的な仕組みは共通していますが、要件が異なります。
バス・タクシーでは、日本の第二種運転免許と新任運転者研修の修了が必要です。
また、準備のための特定活動期間は1年です。
トラック分野とは必要な免許や研修が異なるため、区別して確認しましょう。
出典:出入国在留管理庁「自動車運送業分野」、国土交通省「特定技能Q&A」(2026年確認)。
9. まとめ|特定技能ドライバーの乗務開始は在留資格と免許で決まる
特定技能ドライバーを採用する際は、来日後すぐに配送業務を任せられるとは限りません。
重要なポイントを整理します。
特定活動は、日本の運転免許取得などを目的とする準備期間
トラック分野の特定活動は6か月で、更新不可
特定活動中も、条件付きで公道での運転研修が可能
特定活動中に通常の配送業務を行うことはできない
配送業務には、特定技能1号の在留資格と必要な日本の免許が必要
大型トラックの乗務には、対応する大型免許が必要
在留資格変更後も、必要な安全教育などを実施する
採用計画では、入社日と乗務開始日を分けて考える
外国人ドライバーの採用を成功させるためには、在留資格の手続きだけでなく、免許取得や乗務開始までを見据えた計画が欠かせません。
特定技能ドライバーの採用をご検討中の運送会社様へ
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