特定技能ドライバー平均月収を徹底解説|最新の給与相場と制度のすべて
- 高橋 壮
- 2025年12月24日
- 読了時間: 13分

目次:
2024年3月に新設された特定技能「自動車運送業」分野。深刻なドライバー不足を背景に、外国人ドライバーの受け入れが本格化しています。
本記事では、特定技能ドライバーの平均月収から制度の詳細、試験内容まで、最新データをもとに徹底解説します。
1.特定技能ドライバー平均月収の最新相場

2025年最新の給与データから見る実態
厚生労働省が発表した「令和6年賃金構造基本統計調査」によると、特定技能外国人全体の平均月給は211,200円となっています。この数字は前年比6.7%増と、需要の高まりを反映した上昇傾向を示しています。

特定技能ドライバーについても、この全体平均に準じた給与水準が基本となりますが、職種や地域、企業規模によって実際の収入には大きな幅があります。給与水準はまだ固まっていない段階と言えるでしょう。
職種別の給与相場
職種 | 基本給 | 手当込み総額 | 日本語要件 | 必要免許 |
トラック運転者 | 18~25万円 | 25~35万円 | N4以上 | 第一種 |
タクシー運転者 | 20~28万円 | 28~38万円 | N3以上 | 第二種 |
バス運転者 | 22~30万円 | 30~40万円 | N3以上 | 第二種(大型) |
注目すべきは、基本給だけでなく各種手当を含めた総支給額です。長距離手当(月3~5万円)、深夜手当、危険物手当、住居手当などを合わせると、実際の収入は基本給より相当高くなるケースが多いのが特徴です。
特定技能の賃金相場から見る月給水準
特定技能制度全体で見ると、技能実習生の平均月給182,700円と比較して約3万円高い水準にあります。これは、即戦力として期待される特定技能人材の価値を反映したものです。
在留資格別賃金の比較(令和6年)
在留資格 | 平均月給 | 前年比 | 特徴 |
身分に基づくもの | 300,300円 | +13.4% | 永住者など、制限が少ない |
特定技能 | 211,200円 | +6.7% | 即戦力の専門人材 |
その他(短期労働系) | 226,500円 | -2.1% | 留学生アルバイトなど |
技能実習 | 182,700円 | +0.6% | 研修的性格が強い |
特定技能の給与が年々上昇している点は重要です。前年比6.7%増という数字は、外国人労働者全体の中でも高い伸び率を示しており、人材不足による需給逼迫が給与水準を押し上げていることがわかります。
ドライバーの平均月給はいくらですか?
日本人ドライバーの給与水準を見ておくことも重要です。全日本トラック協会が公表した「2024年度版トラック運送事業の賃金・労働時間等の実態」によると、トラック運送業全体の平均月給は341,800円(賞与含む)となっています。

日本人トラックドライバーの職種別月給(2024年、賞与含む)
職種 | 平均月給 | 前年比 |
大型トラック運転者 | 404,100円 | +6.7% |
準中型トラック運転者 | 388,700円 | +6.7% |
中型トラック運転者 | 379,600円 | +6.7% |
普通トラック運転者 | 344,500円 | +6.7% |
これらは賞与を含んだ月換算額のため、基本給単体で見ると300,000円前後が平均的な水準です。特定技能ドライバーの給与が日本人ドライバーより低く見えるのは、経験年数や資格の違いが大きく影響しています。
重要なのは「同等技能を持つ日本人と同等以上」という原則です。同じ経験年数、同じ免許、同じ業務内容の日本人と比較して同等以上の給与を保証する必要があるため、適切に運用されれば特定技能ドライバーも公平な待遇を受けられる仕組みになっています。
2.特定技能ドライバー平均月収と制度の基本

外国人ドライバー特定技能はいつから始まった?
特定技能制度そのものは2019年4月に創設されましたが、自動車運送業分野が追加されたのは2024年3月29日です。この追加は、物流・旅客業界における深刻な人手不足への対応策として実施されました。
制度創設の背景となった深刻な現実
背景には厳しい数字があります。2000年時点で97.3万人いたトラック運転手が、2020年には77.9万人にまで減少。20年間で約20万人、率にして約20%もの労働力が失われました。
さらに深刻なのは年齢構成です:
40~50代:約57%
20~30代:わずか23%
若年層の参入不足が、将来の労働力不足をさらに加速させています。
この人手不足に追い打ちをかけたのが、2024年4月から施行された働き方改革関連法による時間外労働の上限規制、いわゆる「2024年問題」です。年間960時間という上限により、一人のドライバーが運べる荷物の量が制限され、既存の人材だけでは需要に対応できない状況が生まれました。
一方で需要は拡大し続けています。EC市場は2014年の約13兆円から2024年には約26兆円へと10年で2倍に成長。コロナ後のインバウンド需要も回復し、タクシーやバスの需要も高まっています。
このような需給のギャップを埋めるため、政府は自動車運送業分野を特定技能の対象に加える決断をしたのです。
制度開始のタイムライン

2024年3月29日:閣議決定、自動車運送業分野を追加
2024年12月19日:上乗せ基準告示が施行
2025年1月17日:自動車運送業分野特定技能協議会が正式発足
2025年3月~:試験合格者の就労が本格開始
現在(2025年6月末):10人が就労中
今後5年間:最大24,500人の受け入れ見込み
外国人ドライバー特定技能で働ける職種
特定技能「自動車運送業」では、3つの職種で外国人材を受け入れることができます。それぞれの特徴を理解しておくことが重要です。
1. トラック運転者(貨物運送)
区分 | 内容 |
主な業務内容 | 運行前後の車両点検/安全な貨物輸送/荷崩れ防止の積付け/運行記録の作成 |
必要な資格 | 第一種運転免許(業務に応じた種類)/日本語能力N4以上 |
この職種の魅力 一人で業務を完結できることが多く、日本語でのコミュニケーション頻度が比較的少ないため、言語に不安がある方でも挑戦しやすい職種です。長距離手当などで大きく収入を伸ばすことも可能です。
2. タクシー運転者(一般乗用旅客運送)
区分 | 内容 |
主な業務内容 | 運行前後の車両点検/安全な旅客輸送/接遇業務(丁寧な対応)/適切な経路選択 |
必要な資格 | 第二種運転免許(普通)/日本語能力N3以上/新任運転者研修修了 |
この職種の魅力 母国語を活かして外国人観光客に対応できる強みがあります。接客スキルを身につけられる点も魅力で、地域の地理に詳しくなることで生活の幅も広がります。
3. バス運転者(乗合旅客運送)
区分 | 内容 |
主な業務内容 | 運行前後の車両点検/安全な旅客輸送/多数乗客への対応/高齢者・障がい者のサポート/ダイヤ遵守 |
必要な資格 | 第二種運転免許(大型)/日本語能力N3以上/新任運転者研修修了 |
この職種の魅力 比較的規則的な勤務時間で、社会インフラを支える実感が得られます。責任ある仕事でやりがいが大きく、給与水準も3職種の中で最も高い傾向にあります。
3.特定技能ドライバー平均月収と給料の内訳

基本給以外に支給される手当の実態
特定技能ドライバーの収入を理解する上で重要なのが、基本給以外に支給される各種手当です。基本給が18~22万円程度であっても、手当を含めた総支給額では25~35万円になるケースも少なくありません。
主な手当の種類と相場
手当の種類 | 月額目安 | 支給条件 |
時間外手当 | 2~5万円 | 法定労働時間超過分(割増25%以上) |
深夜手当 | 1~3万円 | 22時~5時の勤務(さらに25%加算) |
長距離手当 | 3~5万円 | 長距離輸送業務 |
けん引手当 | 2~4万円 | トレーラー運転 |
危険物手当 | 1~3万円 | 危険物輸送 |
住居手当 | 2~4万円 | 企業が住居を提供しない場合 |
通勤手当 | 実費 | 公共交通機関は全額支給が一般的 |
資格手当 | 0.3~1万円 | 大型免許、フォークリフトなど |
運送業界では残業が発生しやすいため、時間外手当が収入の重要な部分を占めます。深夜時間帯には通常の時間外手当にさらに25%が加算されるため、深夜勤務が多い場合は手取り額が大きく増えます。

このように、基本給20万円のドライバーでも、手当を含めれば手取り24万円程度になることがわかります。
特定技能ボーナスは支給される?
特定技能外国人に対するボーナス(賞与)の支給は法的には義務ではありませんが、「日本人と同等以上の待遇」という原則から、日本人従業員にボーナスを支給している企業では、特定技能外国人にも同等の条件で支給する必要があります。
運送業界のボーナス支給実態(2024年データ)
項目 | 内容 |
年間賞与平均 | 月額換算 約43,800円 |
年間支給額 | 約52万円 |
支給回数 | 年2回(夏季・冬季) |
経験年数別のボーナス相場
経験年数 | 夏季賞与 | 冬季賞与 | 年間合計 |
初年度(1年目) | 基本給×0.5~1ヶ月 | 基本給×0.5~1ヶ月 | 基本給×1~2ヶ月 |
2年目以降 | 基本給×1~1.5ヶ月 | 基本給×1~1.5ヶ月 | 基本給×2~3ヶ月 |
大手企業 | 基本給×1.5~2ヶ月 | 基本給×1.5~2ヶ月 | 基本給×3~4ヶ月 |
例えば基本給22万円のドライバーが年間3.5ヶ月分のボーナスを受け取れば、年間77万円になります。これを月給と合わせると年収は約341万円となり、生活の安定度が大きく変わってきます。
ボーナス以外の一時金賞与以外にも、以下のような一時金が支給される場合があります:
手当・賞与の種類 | 内容 |
決算賞与 | 業績好調時に支給(基本給の0.5~1ヶ月分) |
無事故手当 | 一定期間無事故で年3~10万円 |
勤続手当 | 3年・5年など節目で5~30万円 |
資格取得奨励金 | 大型免許取得時に5~10万円 |
特定技能2号の給料はどれくらい上がる?
特定技能には1号と2号があり、2号はより高度な技能を持つ熟練労働者が対象となります。
特定技能1号と2号の違い
項目 | 特定技能1号 | 特定技能2号 |
在留期間 | 通算5年まで | 上限なし(更新可能) |
家族帯同 | 不可 | 可能(配偶者・子) |
技能水準 | 一定の専門性・技能 | 熟練した技能 |
永住権申請 | 不可 | 条件を満たせば可能 |
ただし重要な点として、現時点では自動車運送業分野において特定技能2号の受け入れは認められていません。自動車運送業分野は2024年3月に追加されたばかりで、まだ特定技能1号のみが運用されています。
他分野の特定技能2号給与上昇率(参考)
分野 | 特定技能1号 | 特定技能2号 | 上昇率 |
建設 | 24~26万円 | 28~32万円 | 約20~25%増 |
造船・舶用工業 | 23~26万円 | 26~30万円 | 約15~20%増 |
もし将来、自動車運送業分野に特定技能2号が導入された場合、基本給20万円程度だった方が、2号取得後には25~30万円程度に上昇することが予想されます。
4.特定技能ドライバー平均月収と要件・試験

特定技能ドライバー要件のポイント
特定技能ドライバーとして働くためには、以下の3つの要件をすべて満たす必要があります。
1. 日本語能力の要件

N4は基本的な日本語が理解できるレベルで、日常会話がある程度できる程度(習得時間300~400時間)。N3になると日常的な場面の日本語がある程度理解でき、やや複雑な会話もこなせるレベル(習得時間450~600時間)が必要です。
2. 技能試験の要件
「自動車運送業分野特定技能1号評価試験」に合格する必要があります。
実施機関:一般財団法人日本海事協会
試験区分:トラック、タクシー、バスの3種類
受験資格:17歳以上、国籍不問、外国の運転免許保有者
受験料:約8,000~10,000円
合格率:72%(2024年12月~2025年6月実績)
3. 運転免許の要件
トラック運転者:第一種運転免許(業務内容に応じた種類)
タクシー運転者:第二種運転免許(普通)+新任運転者研修
バス運転者:第二種運転免許(大型)+新任運転者研修
一般的には来日前に母国で運転免許を取得し、来日後に日本の運転免許への切替手続きを行う流れとなります。
受け入れ企業側の要件
企業にも厳格な要件が課されます:

特定技能ドライバー試験の内容と難易度
試験の基本情報
項目 | 内容 |
試験時間 | 80分(学科+実技) |
試験言語 | 日本語(ルビ付き) |
合格基準 | 学科・実技ともに60点以上 |
実績期間 | 2024年12月~2025年6月 |
受験者数 | 延べ2,167人 |
合格者数 | 1,559人 |
合格率 | 72% |
合格率72%という数字は、適切に準備すれば十分合格できる水準を示しています。
トラック運転者試験の出題範囲
分野 | 出題割合 | 主な内容 |
運行業務 | 40% | 運行前点検、安全運転、道路交通法、運行記録 |
荷役業務 | 40% | 貨物の積付け、荷崩れ防止、積載制限 |
安全衛生 | 20% | 作業安全、健康管理、事故対応 |
タクシー・バス運転者試験の出題範囲
分野 | 出題割合 | 主な内容 |
運行業務 | 45% | 旅客運送、安全確認、運賃メーター操作 |
接遇業務 | 35% | 適切な言葉遣い、高齢者対応、クレーム対応 |
安全衛生 | 20% | 感染症対策、車内清潔、緊急時対応 |
試験対策のポイント
日本海事協会の公式テキストで学習(必須)
専門用語の意味を正確に理解(最重要)
模擬試験を繰り返し解く(本番形式に慣れる)
実践的な学習(教習所での体験、現場見学)
学習期間の目安
日本語N4レベル:2~3ヶ月
日本語N3レベル:1~2ヶ月
母国で運転経験がある場合:期間短縮可能
不合格になっても何度でも再受験可能で、試験は月1~2回程度定期的に実施されています。
5.特定技能ドライバー平均月収と他職種・企業比較

特定技能建設の給料との違い
特定技能制度の中で最も給与水準が高いのが建設分野です。令和6年賃金構造基本統計調査によると、建設分野の平均月給は25.8万円で、年収換算では約361万円となっています。
分野別平均月給の比較
分野 | 平均月給 | 年収換算 | 特徴 |
建設 | 25.8万円 | 約361万円 | 最も高水準 |
造船・舶用工業 | 22~25万円 | 約310~335万円 | 技術性が高い |
自動車運送業 | 21~23万円 | 約295~310万円 | 手当次第で変動大 |
介護 | 20~22万円 | 約276~297万円 | 夜勤手当で変動 |
外食業 | 18~20万円 | 約240~264万円 | 比較的低め |
建設分野の給与が高い理由
建設分野の給与が高いのには明確な理由があります。身体的負担が大きく屋外作業が中心で、重量物を扱い、天候の影響を受けやすい環境です。専門的な技能や資格が必須で、経験による技能向上が明確に評価される仕組みがあります。
さらに重要なのは、建設分野では年間1,000円以上の昇給が義務付けられている点です。給与体系が明確に定められており、若年層の参入が少なく人手不足が特に深刻であることも給与水準を押し上げています。
ドライバーの給与を上げる要素一方、ドライバーには給与を上げる要素も豊富にあります:
項目 | 内容 |
人手不足 | 建設業同様に深刻で、今後の賃金上昇余地が大きい |
手当の充実 | 長距離手当(月3~5万円)/深夜手当/危険物手当など |
収入水準 | 手当込みで建設業と同水準の総支給額が可能 |
市場動向 | EC市場拡大により物流需要増、採用競争が激化 |
企業規模による給与の違い
特定技能ドライバーの給与は、受け入れ企業の規模によっても大きく変わります。
企業規模別の給与比較

地域別の給与比較
主要地域の給与水準
地域 | トラック | タクシー | バス | 家賃相場 | 実質可処分所得 |
首都圏 | 23~28万円 | 24~30万円 | 25~32万円 | 7万円 | 約14.5万円 |
大阪・名古屋 | 21~26万円 | 22~28万円 | 23~30万円 | 5.5万円 | 約14.3万円 |
地方都市 | 18~23万円 | 19~25万円 | 20~27万円 | 4万円 | 約13.2万円 |
※実質可処分所得=手取り-家賃
首都圏では給与が全国平均より10~15%高いですが、生活費、特に家賃が高いというデメリットがあります。大阪・名古屋圏では給与と生活費のバランスが良く、地方都市では給与はやや低めですが住居費が安いため、手取り額の実質的な価値は高くなります。
給与額だけでなく、住居支援の有無、通勤距離、福利厚生の充実度、地域の生活環境、将来のキャリアパスなど、総合的に判断することが重要です。
6.まとめ

特定技能「自動車運送業」は2024年3月に始まったばかりの新しい制度ですが、深刻な人手不足を背景に今後急速に拡大していくことが予想されます。
区分 | ポイント |
給与面のポイント | 平均給与211,200円/相場:トラック18~25万円・タクシー20~28万円・バス22~30万円/手当込みで25~35万円可/賞与は年1~3ヶ月分/建設よりやや低めだが手当次第で同等可 |
制度と試験のポイント | 2024年3月開始、5年で最大24,500人受入予定/日本語要件:N4(トラック)・N3(タクシー・バス)/合格率72%/学習期間1~3ヶ月 |
将来性 | 運転手は20年で20万人減少/EC市場が10年で2倍、物流需要増/賃金は前年比6.7%増/特定技能2号導入で更なる昇給の可能性 |
特定技能ドライバーは、日本の物流・旅客業界を支える重要な存在となっていきます。適切な準備と努力により、安定した収入と長期的なキャリアを築くことができる制度です。








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