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外国人ドライバーのトラブル事例とは?運送・タクシー業界が知るべき実態と対策

  • 4 時間前
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外国人ドライバーのトラブル事例とは?運送・タクシー業界が知るべき実態と対策

目次:



「特定技能制度を活用してドライバー不足を解消したい」と考える経営者が増える一方で、現場からは「言葉が通じない」「事故が怖い」といった不安の声も上がっています。実際に、2024年の外国人ドライバーによる交通事故件数は7,286件に達し、10年前の約2.8倍に急増しています。


2024年問題による深刻なドライバー不足を受け、政府は特定技能「自動車運送業」の追加を決定しました。ヤマト運輸が2027年からの5年間でベトナム人ドライバーを最大500人採用する計画を発表するなど、大手企業は既に動き出しています。しかし、中小規模の運送会社やタクシー会社において、何の準備もなく外国人材を受け入れることは、重大な経営リスクになりかねません。


本記事では、実際に発生している外国人ドライバーのトラブル事例を「交通」「業務」「文化」の3つの視点から具体的に解説します。単なる恐怖煽動ではなく、「どのような準備をすればトラブルを防げるのか」という実務的な対策まで網羅しました。これから外国人採用を検討する企業様にとって、転ばぬ先の杖となる情報をお届けします。


1.外国人ドライバーのトラブル事例とは


外国人ドライバーのトラブル事例とは

外国人労働者トラブル事例の全体像


外国人ドライバーに関連するトラブルは、大きく分けて「交通事故・違反」「業務上のミス」「文化・コミュニケーション摩擦」の3つに分類されます。これらは単独で起きることもありますが、多くの場合、言葉の壁や文化の違いが複合的に絡み合って発生します。


例えば、ある地方の運送会社で起きた事例です。特定技能で採用されたドライバーが、配送先で「荷物は裏口に置いて」という指示を「裏に捨てて」と聞き間違え、廃棄物置き場に商品を置いてしまったケースがありました。これは単なる聞き間違い(言語の問題)に見えますが、背景には「確認すること」を恥とする文化的な意識(文化の問題)や、マニュアルの不備(業務の問題)が潜んでいます。


また、福岡市のタクシー会社では、ドライバーの半数近くを外国人が占めるケースも出てきていますが、ここでは「地理不案内」によるクレームが多発しました。カーナビに頼り切りになり、地元住民なら誰でも知っている抜け道を使わず渋滞に巻き込まれ、乗客から怒鳴られるというトラブルです。


これも「ナビ通りに行けば良い」という合理的な思考と、日本の「空気を読んで臨機応変に対応する」というサービスの期待値とのギャップが生んだ事例と言えます。



図0:外国人ドライバートラブルの種類別分布


外国人労働者トラブル件数の実態


トラブルの実態を数字で見てみましょう。警察庁の統計によると、2024年における外国人ドライバー(永住者等を含む全外国人)による交通事故件数は7,286件でした。これは2014年の約2,600件と比較すると、約2.8倍に増加しています。



図1:外国人ドライバー交通事故件数の推移(2014-2024年)


特に懸念されるのは、死亡・重傷事故の増加です。2025年上半期だけで、外国人運転手による死亡・重傷事故は258件発生しており、前年同期比で19件増加しています。これは全死亡・重傷事故の2.1%を占める割合となり、統計を取り始めて以来の最高値を記録しました。


また、労働現場でのトラブルも看過できません。厚生労働省の「外国人雇用実態調査」によると、外国人労働者の約14.4%が何らかの就労トラブルを経験しています。その内訳として最も多いのが「紹介会社(送り出し機関含む)の費用が高い」で19.6%、次いで「日本語によるコミュニケーション」が18.5%となっています。運送業界においても、採用時に多額の借金を背負って来日したドライバーが、返済のために過重労働を希望し、疲労から事故を起こすという負の連鎖が懸念されています。



図1-2:外国人労働者の就労トラブル内訳(複数回答)


東京都の報告では、外国人労働者に関わるトラブル件数は平成25年度から令和3年度にかけて概ね2,000件台で横ばいですが、労働者数の増加に伴い、表面化していない「隠れトラブル」は確実に増えていると推測されます。


2.交通分野の外国人ドライバートラブル事例


交通分野の外国人ドライバートラブル事例

外国人トラブルニュースに見る傾向


ニュースで報道される外国人ドライバーのトラブルには、明確な傾向があります。それは「日本の独自の交通ルールや標識への理解不足」です。特に「一時停止(止まれ)」と「徐行」の概念の違いは、多くの外国人ドライバーにとって鬼門となっています。


関東地方で発生した事例では、フィリピン国籍のトラックドライバーが、見通しの悪い交差点で一時停止を怠り、自転車と接触事故を起こしました。警察の聴取に対し、ドライバーは「減速はした(Slow down)」と主張しましたが、日本の道路交通法が求める「完全停止(Complete stop)」の概念が希薄だったことが原因でした。彼の母国では、完全に停止する習慣があまりなく、少しずつ動きながら安全を確認するのが一般的だったのです。


また、「漢字の標識」が読めないことによるトラブルも多発しています。「徐行」「緊急」「通行止」といった漢字のみの標識は、非漢字圏のドライバーにとっては単なる記号にしか見えません。ある配送ドライバーは、「通行止」の看板の意味が分からず工事現場に進入してしまい、作業員と口論になるトラブルを起こしました。最近では英語併記の標識も増えていますが、地方道や工事現場の仮設看板までは対応しきれていないのが現状です。



外国人トラブルで警察が関わる場面


警察が介入するトラブルとして最も多いのは、やはり「速度超過」と「信号無視」です。しかし、その背景には悪意ではなく「認識のズレ」があることが多いのです。


北関東の物流会社に勤務するベトナム人ドライバーの事例です。彼は高速道路で30km/h以上の速度超過で検挙されました。会社の指導不足もありましたが、彼自身は「荷物を早く届けることが良い仕事だ」と信じており、母国の感覚で「捕まらなければ大丈夫」と考えていました。日本では30km/hオーバーが免許停止や刑事罰につながる重大な違反であるという認識が欠如していたのです。


また、軽微な違反で警察官に止められた際、日本語での説明ができずに逃走を図ったり、抵抗したりして公務執行妨害に問われるケースもあります。言葉が通じない恐怖心からパニックになり、事態を悪化させてしまうのです。ある事例では、一時停止違反で止められた外国人ドライバーが、警察官の「免許証を出して」という言葉が理解できず、財布を取り出そうとした動作を「賄賂を渡そうとした」と誤解され、長時間拘束されるという事態も起きています。


さらに深刻なのは「無免許運転」です。これには「母国の免許証だけで運転できると思っていた」「国際免許証の有効期限が切れていることに気づかなかった」というケースが含まれます。企業側が免許証の有効期限管理を怠り、知らぬ間に無免許運転をさせてしまっていたという事例もあり、これは企業にとって営業停止処分などの致命的なダメージにつながります。



3.業務中の外国人ドライバートラブル事例


業務中の外国人ドライバートラブル事例

外国人タクシー運転手特定技能の注意点


タクシー業界における特定技能の導入は、接客業としての側面も持つため、トラブルの種類がより複雑になります。最大の問題は「コミュニケーションのニュアンス」と「地理の理解」です。


東京都内のタクシー会社で実際にあったトラブルです。外国人ドライバーが、急いでいる乗客に対して「近道を知っていますか?」と尋ねられた際、謙譲のつもりで「私は新人なので分かりません」と正直に答えました。しかし、乗客はこれを「プロ意識がない」と受け取り、激怒して降車してしまいました。日本語の敬語やクッション言葉(「申し訳ございませんが…」など)が使えないと、悪気はなくても相手を不快にさせてしまう典型例です。


また、福岡市の事例でも触れましたが、「カーナビ依存」は深刻な問題です。日本の道路事情は複雑で、時間帯によって通行規制が変わったり、地元住民しか使わない抜け道があったりします。カーナビ通りに走った結果、工事渋滞に巻き込まれ、メーター料金が上がってしまい、乗客から「わざと遠回りしただろう」と詰め寄られるトラブルも散見されます。日本人ドライバーなら「あそこは今混んでいるから避けますね」と一言添えられる場面でも、外国人ドライバーにはその余裕がないことが多いのです。



荷扱いに関する外国人労働者トラブル事例


トラックドライバーの場合、運転だけでなく荷物の積み下ろし(荷役)も重要な業務です。ここでも「日本品質」への理解不足がトラブルを招きます。


ある物流倉庫での事例です。外国人ドライバーが、トラックの荷台に荷物を積む際、効率を重視して「重い荷物を軽い荷物の上に積む」というミスを犯しました。その結果、走行中の振動で下の荷物が潰れ、配送先で全品返品となる損害が発生しました。彼にとっては「とにかく全部積めばいい」という認識でしたが、日本では「荷姿を美しく保つ」「商品を傷つけない」ことが何よりも優先されるという価値観が共有されていませんでした。


また、「不在時の対応」もトラブルの種になります。宅配業務に従事する外国人ドライバーが、受取人不在の際、指定されていないにもかかわらず「親切心で」玄関前に荷物を置いて帰ってしまった事例(置き配トラブル)があります。雨に濡れて商品がダメになり、クレームに発展しました。彼の国では、再配達の手間を省くことがサービスとして喜ばれる文化だったかもしれませんが、日本では厳格なルール違反となります。


4.背景にある外国人ドライバートラブル事例


背景にある外国人ドライバートラブル事例

外国人文化の違いトラブルの要因


多くのトラブルの根底には、目に見えない「文化の違い(カルチャーギャップ)」が存在します。特に顕著なのが「時間感覚」と「報連相(ホウレンソウ)」の概念です。


例えば、フィリピンや一部の東南アジア諸国には「フィリピンタイム」と呼ばれる、時間に比較的寛容な文化があります。「約束の時間に5〜10分遅れても、来たこと自体が重要」と考える傾向があり、これが日本の物流業界の「指定時間厳守」「分単位の運行管理」と真っ向から衝突します。ある運送会社では、始業時間に毎日5分遅れてくる外国人ドライバーに対し、上司が何度注意しても直らず、結局解雇に至ったというケースがありました。彼にとっては「たった5分」であり、なぜそこまで怒られるのか理解できなかったのです。


また、「悪い報告を隠す」という傾向も見られます。アジア圏の文化の中には、上司や年長者に心配をかけたり、怒られたりすることを極端に避ける「面子(メンツ)」の文化があります。そのため、小さな擦り傷事故や配送遅延が発生しても、「自分で何とかしよう」として報告を遅らせ、結果的に事態が取り返しのつかないほど悪化してから発覚するというパターンが多く見られます。日本的な「即座に報告、相談」という行動様式は、彼らにとっては自然なことではないのです。


外国人トラブルが日本で起きる理由


なぜ日本でこれほど外国人ドライバーのトラブルが注目されるのでしょうか。その理由は、日本の交通環境とサービス品質が、世界的に見ても極めて「ハイコンテクスト(文脈依存度が高い)」で「要求水準が高い」ことにあります。


日本の道路は狭く、信号や一時停止が多く、歩行者や自転車が車道を共有する複雑な環境です。これに加え、「サンキューハザード」や「譲り合い」といった、法律には書かれていない暗黙のルールが無数に存在します。これらを理解しないまま運転すると、周囲の日本人ドライバーをイラつかせ、あおり運転を誘発したり、トラブルに巻き込まれたりする原因になります。


さらに、日本の顧客(荷主や乗客)は、世界最高水準のサービスに慣れきっています。「時間通りに届くのは当たり前」「荷物は丁寧に扱って当たり前」「丁寧な言葉遣いで当たり前」という前提があるため、外国人ドライバーの些細なミスや不慣れな対応が、即座に「品質低下」「トラブル」として認識されてしまうのです。この「期待値のギャップ」こそが、トラブルを生む最大の構造的要因と言えるでしょう。



5.外国人ドライバートラブル事例の疑問


外国人ドライバートラブル事例の疑問

外国人ドライバーの事故率は?


「外国人は事故が多い」というイメージは本当でしょうか。データを基に検証してみましょう。


一般社団法人日本自動車連盟(JAF)や警察庁の資料などを総合的に分析すると、2023年時点での日本人ドライバーの事故率(免許保有者数に対する第一当事者事故件数の割合)は約0.35%です。これに対し、在留外国人ドライバーの事故率は約0.55%と推計されています。



図2:外国人 vs 日本人ドライバーの事故率比較


確かに数字上は外国人の事故率の方が約1.6倍高い傾向にあります。しかし、これを「外国人は運転が下手だ」と結論付けるのは早計です。若年層(20代)に限って比較すると、日本人ドライバーの事故率も高く、年齢構成の違いが影響している可能性があります。


また、レンタカー利用の短期滞在者を含めると率は上がりますが、日本の運送会社で教育を受けた特定技能ドライバーに限れば、事故率は日本人新人と大きく変わらないという現場の声もあります。


外国人労働者の利点と問題点は何ですか?


外国人ドライバーを採用することには、明確なメリットとデメリット(課題)が存在します。これらを天秤にかけ、自社でマネジメントできるかを判断することが重要です。



特ドラWORKSが支援した成功事例として、埼玉県の中堅運送会社があります。この会社では、ベトナム人ドライバーを3名採用するにあたり、「業務指示の完全マニュアル化」と「日本人社員向けの異文化研修」を行いました。


その結果、業務が標準化され、日本人新入社員の教育コストも下がるという副次的な効果が生まれました。外国人材導入を単なる「労働力の補充」と捉えず、「組織をアップデートする機会」と捉えられる企業にとっては、メリットの方が大きくなると言えます。




図3:外国人ドライバートラブル予防の4ステップ


6.まとめ


まとめ


外国人ドライバーの採用は、深刻な人手不足にあえぐ運送・タクシー業界にとって、もはや避けては通れない選択肢となりつつあります。しかし、準備不足のまま見切り発車で採用すれば、事故やトラブルで会社そのものが傾くリスクも孕んでいます。


重要なのは、「外国人だからダメだ」と恐れることでも、「何とかなるだろう」と楽観することでもありません。リスクを正しく理解し、それに対する具体的な予防策(教育カリキュラム、マニュアル整備、メンター制度など)を準備することです。



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