特定技能と技能実習の違いとは?10項目の比較表で完全解説
- 6月1日
- 読了時間: 11分

「特定技能と技能実習って、結局なにが違うの?」——外国人材の採用を検討する企業担当者も、日本でキャリアを築きたい外国人も、この疑問にぶつかります。名前は似ていますが、制度の目的も在留期間も転職の自由度も、まったく異なります。
本記事では10項目の比較表で両制度の違いを一覧化し、メリット・デメリット・費用・移行方法・2027年の育成就労制度まで徹底解説します。制度選びで失敗しないための判断チェックリストもご活用ください。
📋 目次
1.特定技能と技能実習の違いとは?まず「目的」で整理する
特定技能と技能実習は「外国人が日本で働く在留資格」という点は共通していますが、制度が生まれた目的はまったく異なります。この前提を押さえておくと、細かいルールの違いも自然と理解できます。
制度が生まれた背景の違い

特定技能は「働く」ことが出発点で、技能実習は「学ぶ」ことが出発点です。この根本的な違いが、転職の可否・家族帯同・受け入れ方法など、あらゆるルールの違いに反映されています。
「特定技能実習生」という表現は間違い
「特定技能実習生」という言葉を耳にすることがありますが、これは正確ではありません。「特定技能外国人」と「技能実習生」は別の在留資格を持つ、まったく別の制度の対象者です。両者を混同したまま雇用契約を結んだり、書類を作成したりすると、法令違反や契約上のトラブルにつながるリスクがあります。

2.比較表で一覧!10項目の違い

特定技能と技能実習の主な違いを10項目の比較表にまとめました。まず全体像を把握してから、各項目の詳細へ進みましょう。
比較項目 | 特定技能 | 技能実習 |
①制度の目的 | 国内の人手不足解消 | 国際貢献・技能移転 |
②対象分野・職種 | 16分野 | 91職種168作業 |
③入国時の試験 | 技能試験+日本語試験 | 原則なし(入国後研修) |
④在留期間 | 1号:最長5年 / 2号:更新無制限 | 最長5年(1号1年+2号2年+3号2年) |
⑤転職の可否 | ✅ 同一分野内で可 | ❌ 原則不可 |
⑥家族帯同 | 2号のみ可 | ❌ 不可 |
⑦受け入れ方法 | 直接雇用(登録支援機関は任意) | 監理団体経由が必須 |
⑧受け入れ人数 | 原則制限なし | 常勤職員数に応じた上限あり |
⑨給与水準 | 日本人と同等以上が義務 | 最低賃金以上(実態は低め) |
⑩採用コスト目安 | 50〜100万円(初年度) | 100〜200万円(初年度) |

3.違い詳細①:在留期間・転職・家族帯同
在留期間の違い
両制度ともに最長で5年程度の在留が可能ですが、その先の見通しが大きく異なります。
在留区分 | 特定技能 | 技能実習 |
初期 | 1号:通算最長5年(更新しながら) | 1号:1年間(技能等修得活動) |
中期 | — | 2号:2年間(技能等習熟活動) |
長期 | 2号:更新回数に上限なし(実質無期限) | 3号:2年間(技能等熟達活動) |
合計上限 | 1号のみなら5年。2号移行後は無制限 | 最長5年(修了後は原則帰国) |
特定技能2号に移行できれば在留期間の上限がなくなります。2023年以降、2号の対象分野が大幅に拡大されており、長期的なキャリア形成が実現しやすくなっています。技能実習は5年の修了後、原則として帰国となりますが、特定技能1号へ移行する道もあります。
転職の可否(採用担当者が一番注意すべき違い)
転職の自由度は、両制度で最も大きく異なるポイントです。

家族帯同の可否
技能実習では家族(配偶者・子)の帯同は認められていません。特定技能1号も原則不可ですが、特定技能2号に移行すれば配偶者と子の在留が認められます。長期的に日本で生活基盤を築きたいと考える外国人にとって、特定技能2号は大きな目標になっています。

特定技能2号の対象分野(2023年以降に大幅拡大)
2023年6月の閣議決定により、特定技能2号の対象分野が大幅に拡大されました。それまで建設・造船舶用工業の2分野に限定されていた2号が、介護分野を除く15分野に広がりました。対象分野の外国人労働者は、試験に合格して熟練技能を証明すれば、在留期間の更新上限なしに長期就労が可能です。
分野 | 特定技能1号 | 特定技能2号 |
自動車運送業(トラック・バス・タクシー) | ✅ | ✅ |
建設 | ✅ | ✅ |
製造業(素形材・産業機械・電気電子等) | ✅ | ✅ |
農業・漁業・食品産業・外食業 | ✅ | ✅ |
介護 | ✅ | (対象外) |
自動車運送業は2024年に特定技能の対象分野として追加されたばかりですが、既に2号まで設定されており、外国人ドライバーが長期的に日本で働き続けられる制度環境が整っています。
4.違い詳細②:受け入れ方法・費用・人数枠

監理団体(技能実習)と登録支援機関(特定技能)の違い
項目 | 特定技能:登録支援機関 | 技能実習:監理団体 |
利用の必要性 | 任意(自社で支援計画を実施できれば不要) | 必須(監理団体経由でないと受け入れ不可) |
役割 | 外国人労働者への生活・就労支援のサポート | 実習計画の認定・監督・送り出し機関との調整 |
費用 | 月額2〜5万円程度(委託の場合) | 月額2〜4万円程度(管理費) |
企業側の裁量 | 高い(直接雇用・独自の採用活動も可) | 低い(監理団体の指導のもと運営) |
費用・コストの違い
外国人材の採用にかかる費用は、制度によって大きく異なります。技能実習は送り出し機関への手数料・監理団体費用・渡航費など初期コストが高くなる傾向があります。
費用の種類 | 特定技能 | 技能実習 |
送り出し機関への手数料 | 0〜30万円程度 | 50〜80万円程度 |
入国前教育費用 | 少額〜不要 | 10〜20万円程度 |
監理団体費・支援費(月額) | 2〜5万円(任意) | 2〜4万円(必須) |
初年度の概算コスト合計 | 50〜100万円程度 | 100〜200万円程度 |

特定技能の採用コストを抑える3つのポイント
特定技能はもともと技能実習より安価ですが、さらにコストを最適化する方法があります。
1国内転換採用を活用する
すでに日本に在留している技能実習修了者・留学生・特定活動の外国人を特定技能として採用するルートです。渡航費・入国前教育費などの海外送り出しコストがほぼ不要になります。国内転換は新規入国より審査もスムーズな傾向があり、中小企業でも取り組みやすい採用方法です。
📌 技能実習2号修了者は試験免除で特定技能1号へ移行可能。自社実習生をそのまま転換するケースが増えています
2登録支援機関を複数社比較してから選ぶ
登録支援機関の月額委託費用は2〜8万円程度と幅があります。サービス内容(通訳・生活支援・行政手続き代行など)を比較し、自社に必要な支援項目だけに絞り込むことでランニングコストを削減できます。自社内で支援対応できる体制があれば、委託なしの直接運用も選択肢です。
3複数名をまとめて採用して単価を下げる
特定技能は原則として受け入れ人数に上限がないため、1名よりも複数名をまとめて採用するほうが、一人当たりの入国支援コスト・書類作成コストを圧縮できます。中長期の採用計画を立てた上で、ロットまとめの交渉を支援機関に行いましょう。
受け入れ人数枠の違い
特定技能は原則として人数制限がありません(介護・建設分野は除く)。技能実習は常勤職員数に応じた上限が設けられています。
常勤職員数 | 技能実習の受け入れ上限(通常) | 技能実習の上限(優良企業) | 特定技能 |
30人以下 | 3人 | 6人 | 原則 制限なし (介護・建設 は例外) |
31〜40人 | 4人 | 8人 | |
41〜50人 | 5人 | 10人 | |
51〜100人 | 6人 | 12人 |
5.特定技能・技能実習のメリット・デメリット比較
企業側の視点でメリット・デメリットを整理します。どちらが優れているかではなく、自社の状況や採用目的に合わせて選ぶことが重要です。


6.技能実習から特定技能への移行方法

技能実習2号を良好に修了した方は、特定技能1号へ移行できる仕組みがあります。この移行ルートは、外国人材が長期的に日本でキャリアを形成するための重要な制度です。
移行の条件
✓技能実習2号を良好に修了していること「良好に修了」とは、実習実施者から証明書を受け取っていることが必要
✓技能実習の職種と特定技能の業務区分が関連していること異なる分野への移行は原則不可。事前に対応分野を確認が必要
✓技能試験・日本語試験が免除される2号修了者は特定技能1号の技能試験・日本語試験(N4相当)の受験が免除される
✓健康状態・素行が良好であること在留資格変更申請時に審査される
移行手続きの流れ
1移行先企業(または継続雇用)の確定
技能実習修了後に受け入れてくれる特定技能の雇用先を確保します。技能実習の受け入れ企業がそのまま雇用を継続する場合も多くあります。
📌 受け入れ企業は特定技能の基準(支援計画作成等)を満たす必要があります
2必要書類の準備
技能実習修了証明書・パスポート・在留カード・雇用契約書・支援計画書などを準備します。
📌 技能実習2号修了証明書は受け入れ企業から発行してもらう必要があります
3在留資格変更許可申請
地方出入国在留管理局に在留資格変更許可申請を行います。審査期間は通常1〜3か月程度です。
📌 申請中は技能実習の在留資格のまま就労継続が可能(みなし期間)
4特定技能1号として就労開始
許可が下りたら特定技能1号として新たな在留カードが交付されます。通算5年の在留期間がスタートします。
📌 技能実習期間は特定技能1号の5年に加算されません(別カウント)

7.2027年育成就労制度への移行と今後の動向
技能実習制度は、長年にわたる問題点の指摘を受け、2027年を目途に廃止されることが決定しています。代わりに「育成就労制度」が新設されます。外国人材の受け入れを検討する企業は今からこの変化に備えておく必要があります。
技能実習廃止の背景

育成就労制度の主な変更点(2027年施行予定)

企業が今から準備すべきこと
✓技能実習から特定技能への移行を前提とした採用計画を立てる2027年以降は技能実習が廃止されるため、現在の技能実習生の「その後」を計画しておく必要がある
✓特定技能外国人の受け入れ体制を整備する支援計画の作成・登録支援機関との連携・就業規則の整備など先行して進めておく
✓転籍リスクに備えた定着策を講じる育成就労制度では転籍が緩和されるため、賃金・待遇・職場環境の改善が定着の鍵になる
✓最新の法令情報を定期的にウォッチする育成就労制度の詳細は2026〜2027年にかけて確定される予定。出入国在留管理庁の公式情報を随時確認する
8.企業はどちらを選ぶべきか?チェックリスト+FAQ

自社に合う制度判断チェックリスト


よくある質問(FAQ)
Q1. 特定技能と技能実習は同時に利用できますか?
A. 同一の外国人材に対して「特定技能」と「技能実習」を同時に適用することはできません。ただし、技能実習修了後に特定技能へ移行させることは可能です。複数の外国人材を採用する場合、技能実習生と特定技能外国人を同時に雇用することは可能です。
Q2. 技能実習2号を修了せずに特定技能1号へ移行できますか?
A. 技能実習2号修了者は試験免除で特定技能1号へ移行できますが、修了していない場合(技能実習1号のみ、または途中退職など)は、特定技能1号の技能試験と日本語試験に合格する必要があります。試験に合格さえすれば移行自体は可能です。
Q3. 特定技能外国人が転職した場合、企業側に何か手続きは必要ですか?
A. 特定技能外国人が転職(退職)した場合、受け入れ企業は出入国在留管理庁への届出が義務付けられています。届出を怠ると、次の受け入れ申請に影響が出る可能性があります。転職後は新しい受け入れ企業との間で新たな雇用契約と支援計画の締結が必要です。
Q4. 特定技能1号から2号への移行は誰でもできますか?
A. 特定技能2号への移行には、各分野で定められた「熟練した技能」を証明する試験への合格と一定の実務経験が必要です。2023年以降、対象分野が大幅に拡大されましたが、試験の難易度は高く、誰でも移行できるわけではありません。分野ごとの移行要件を事前に確認しておきましょう。
Q5. 運送業(自動車運送業)では特定技能と技能実習、どちらで外国人を採用できますか?
A. 自動車運送業は特定技能のみ対象です。技能実習の職種に「自動車運送業(トラック・バス・タクシードライバー)」は含まれていないため、外国人ドライバーを採用するには特定技能一択となります。2024年に特定技能の対象分野として正式追加され、1号・2号ともに設定されています。なお、外国人ドライバーが日本で運転業務に就くには日本の運転免許(大型・中型・第二種など業務に応じた種別)が必要です。外国免許を保有している場合は外免切替(外国免許切替)の手続きで日本免許を取得できますが、試験免除国かどうかで難易度が変わるため、採用計画段階から免許取得サポートを含めたスケジュールを組むことが重要です。
9.この記事のまとめ
特定技能(2019年〜)は人手不足解消が目的。技能実習(1993年〜)は国際貢献・技能移転が目的
「特定技能実習生」という在留資格は存在しない。特定技能外国人と技能実習生はまったく別の制度
転職:特定技能は同一分野内で可能、技能実習は原則不可という大きな違いがある
家族帯同:特定技能2号のみ可。技能実習は不可
費用:技能実習(100〜200万円)は特定技能(50〜100万円)の約2倍のコストがかかりやすい
技能実習2号修了者は試験免除で特定技能1号に移行でき、技能実習から通算8年以上の在留が可能
技能実習制度は2027年廃止予定。新設の育成就労制度では一定条件での転籍が認められる
2027年以降を見据えた外国人材採用は、特定技能を軸に計画を立てることが現実的





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