外国人ドライバーを正社員採用する方法|費用・在留資格・定着を解説
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在留資格の選び方から5年間の総コスト比較、キャリアパス設計まで徹底解説
「外国人ドライバーを採用したいが、正社員にしなければならないのか」「どんな在留資格なら採用できるのか」——こうした疑問を持つ運送・物流企業の採用担当者は多いはずです。
結論から言うと、特定技能「自動車運送業」1号では派遣が明確に禁止されており、直接雇用(正社員・有期直接雇用)のみが合法です。この「直接雇用限定」という制度的背景を理解したうえで、在留資格別の採用可否、給与の設計、採用コストの実数字、長期定着のための仕組みまで順番に整理します。
📋 目次
1.外国人ドライバーを「正社員」で採用できるか?——3要件と「派遣不可」の法的根拠
外国人ドライバーを正社員として採用することは可能です。ただし、次の3つの要件をすべて満たす必要があります。

この3要件の中で、採用担当者が最も見落としやすいのが③の「派遣不可」ルールです。
特定技能外国人は「派遣」では受け入れられない——法的根拠
外国人ドライバーの採用で最も活用されるのが在留資格「特定技能」です。しかし、特定技能1号の外国人を労働者派遣の形態で受け入れることは、入管法により禁止されています。
【法令の根拠】出入国管理及び難民認定法第2条の5第3項の規定に基づき、1号特定技能外国人支援計画において「特定技能所属機関(受け入れ企業)が直接雇用すること」が要件とされています。
つまり、特定技能ドライバーを採用するためには、自社で直接雇用(正社員または有期の直接雇用)するしかありません。「派遣会社から外国人ドライバーを借りる」モデルは現時点では認められていません。
この「派遣不可」ルールは、外国人ドライバーの処遇を守るために設けられています。受け入れ企業が雇用主として責任を持ち、在留資格の管理・支援計画の実行・同一賃金の確保を直接担うことが求められているためです。

正社員採用を前提とした場合のメリット
外国人ドライバーを正社員として採用することには、単なる法的要件のクリアを超えた経営上のメリットがあります。
長期勤続の動機付け:正社員という雇用形態が安定感を与え、定着率が向上する
特定技能2号・永住への道筋:正社員として勤続年数を積み上げることが、在留資格の更新・上位資格取得につながる
企業ブランドの向上:外国人を正社員として迎える姿勢が、他の外国人求職者や日本人求職者への訴求力にもなる
責任感とエンゲージメントの醸成:「一時的な労働力」ではなく「会社の仲間」という意識が、事故防止・サービス品質向上につながる
外国人ドライバーの採用全体像については、外国人ドライバーのビザ・在留資格ガイドもあわせて確認してください。
2.正社員採用できる在留資格5種類——特定技能・永住・身分系の比較表

外国人ドライバーを正社員で採用できる在留資格は、大きく「特定技能系」「身分系」「特定活動系」の3カテゴリに分けられます。それぞれ採用難易度・手続き・業務制限が大きく異なります。
在留資格 | 採用可否 | 業務の制限 | 採用難易度 | 主な出身国 |
特定技能1号(自動車運送業) | ◎ | 業務区分内のみ(トラック・バス・タクシーを事前に選択) | 中(試験合格と企業認証が必要) | フィリピン・インドネシア・ベトナム等 |
永住者 | ◎ | 制限なし(日本人と同等) | 低(手続きが最少) | 中国・韓国・フィリピン等 |
定住者 | ◎ | 制限なし(日本人と同等) | 低(在留資格変更不要) | ブラジル・フィリピン・中国等 |
日本人の配偶者等・永住者の配偶者等 | ◎ | 制限なし(日本人と同等) | 低(手続きが最少) | 中国・韓国・フィリピン等 |
特定活動55号(免許取得中) | △ | 乗務不可。免許取得関連業務・研修のみ | 中(特定技能1号取得前の経過期間) | 特定技能移行予定者全般 |
技能実習・技術人文知識国際業務・留学 | ✕ | ドライバー業務は対象外 | — | — |
特定技能「自動車運送業」1号——業務区分と人材要件
2024年に新設された「特定技能(自動車運送業)1号」は、トラック・バス・タクシーの3業種に分かれています。採用前に業務区分を選択し、その区分の評価試験に合格した外国人のみを採用できます。
業務区分 | 主な乗務内容 | 必要免許 | 年齢要件 | 受け入れ見込み(5年間) |
トラック運送業 | 貨物の集配・幹線輸送(普通〜大型) | 普通〜大型免許(車格に応じて) | 18歳以上 | 約4万人 |
バス運送業 | 路線バス・貸切バスの旅客輸送 | 大型二種免許 | 21歳以上 | 約2.4万人 |
タクシー運送業 | 旅客の個別輸送(タクシー・ハイヤー) | 普通二種免許 | 21歳以上 | 約2.4万人 |

特定技能「自動車運送業」の詳細な要件については、特定技能ドライバーの要件と評価試験で解説しています。
身分系・永住者——手続きが少ない分、採用競争が激しい
永住者・定住者・日本人の配偶者等の「身分系」在留資格を持つ外国人は、就労制限がなく日本人とまったく同じ扱いで雇用できます。在留資格変更の手続きが不要なため採用ハードルが低い反面、複数業種から内定オファーが来る優秀な人材ほど、他社・他業種に奪われやすいという側面があります。給与・住環境・職場環境のトータルでの競争力が問われます。
使えない在留資格——技能実習・技人国・留学の落とし穴

技能実習と特定技能の主な違いについては、特定技能と技能実習の主な違いで詳しく解説しています。
3.外国人ドライバーの給与相場——業種別の月給と同一賃金の原則
外国人ドライバーの給与は、日本人ドライバーと同等以上に設定する必要があります。「外国人だから安くていい」という考え方は、法律違反になる可能性があります。
業種別・経験年数別の正社員月給レンジ(2026年現在)
業種 | 経験年数 | 月給(税前) | 代表的な手当 | 想定年収 |
トラック(普通〜中型) | 入社1〜2年目 | 25〜30万円 | 距離手当・残業代 | 320〜400万円 |
トラック(大型・長距離) | 経験3年以上 | 30〜42万円 | 深夜手当・危険物手当 | 420〜560万円 |
バス(路線) | 入社1〜3年目 | 25〜33万円 | 乗務手当・皆勤手当 | 340〜460万円 |
タクシー(日勤) | 入社1〜2年目 | 22〜28万円+歩合 | 売上歩合・深夜割増 | 300〜480万円 |
タクシー(夜勤中心) | 経験問わず | 28〜40万円(歩合込) | 深夜手当・固定給+歩合 | 400〜560万円 |
上記の給与レンジは、あくまでも日本人ドライバーの相場感と合わせた数字です。外国人であることを理由に低く設定することは認められません。

✅ 具体的な対策:採用時の雇用契約書に、既存の日本人社員と同一の賃金テーブルを適用することを明記する
定着率を高める待遇設計の4つのポイント
給与水準だけでなく、以下の4点を整えることで外国人ドライバーの定着率が大幅に向上します。

外国人ドライバーの雇用条件の具体的な設計については、外国人ドライバーの雇用条件の整え方で詳しく解説しています。
4.正社員採用の5年間総コスト——紹介会社 vs 自社採用を実数字で比較

外国人ドライバーを正社員採用する際は、「初期費用が高い」というイメージが先行しがちです。しかし、5年間のトータルコスト(TCO)で見ると、採用経路や手続きの方法によって100万円以上の差が生まれることがあります。
採用コストの主な内訳と目安金額
💴 特定技能ドライバー1名あたりの費用目安(海外からの呼び寄せケース)
費用項目 | 紹介会社経由 | 自社採用 | 備考 |
人材紹介手数料 | 50〜80万円 | 0円 | 年収の15〜25%が相場 |
在留資格申請費用(行政書士) | 一部包括 or 5〜15万円 | 5〜15万円 | COE申請・変更申請 |
外免切替・免許取得費用 | 15〜30万円 | 15〜30万円 | 会社負担の場合 |
渡航費・入国準備費用 | 10〜20万円 | 10〜20万円 | 航空券・初期生活費等 |
登録支援機関への委託費(年間) | 12〜36万円/年 | 12〜36万円/年 | 月1〜3万円が相場 |
初年度合計(概算) | 110〜165万円 | 55〜100万円 | |
5年間の累計コスト(支援費含む) | 230〜330万円 | 170〜260万円 |
紹介会社経由は初年度コストが50〜80万円高くなりますが、採用成功率の向上・ビザ手続きのミス防止・入国後サポートの手厚さという点で自社採用を上回ります。初めて外国人ドライバーを採用する企業には、紹介会社の活用が現実的な選択肢です。

外国人ドライバー採用で活用できる主な助成金
助成金名 | 支給額(上限) | 対象要件 | 所管 |
特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース) | 中小企業:最大120万円 | ハローワーク紹介で就職した外国人を雇用(継続6ヶ月以上) | 厚生労働省 |
トライアル雇用助成金(一般トライアルコース) | 月最大9万円(最長3ヶ月) | ハローワーク紹介・試験的雇用からの本採用 | 厚生労働省 |
人材開発支援助成金(特別育成訓練コース) | 訓練費用の75〜90% | 有期雇用→正規雇用転換に向けた職業訓練の実施 | 厚生労働省 |
キャリアアップ助成金(正社員化コース) | 1人あたり最大80万円 | 有期契約から正社員への転換(6ヶ月以上の有期雇用後) | 厚生労働省 |

採用戦略の全体設計については、外国人ドライバー採用の人材戦略も参考にしてください。
5.採用から乗務開始までの流れ——国内在留者と海外呼び寄せを比較
外国人ドライバーの採用プロセスは、「すでに日本在住の外国人を採用するか」「海外から呼び寄せるか」によって、期間と手続きが大きく異なります。

パターンA:国内在留者を採用する場合のフロー

外免切替の手続きと合格対策については、外国免許切替(外免切替)の全手順で詳しく解説しています。
パターンB:海外から呼び寄せる場合のフロー

📌 「特定活動55号」とは?海外から入国した特定技能候補者が、免許取得が完了するまでの間に合法的に在留できるよう設けられた経過措置の在留資格です。この期間中は乗務業務には就けませんが、免許取得関連の研修・語学学習に従事できます。企業は「特定活動55号」期間中も給与を支払うことが推奨されており、研修費・生活支援費として月15〜25万円程度の負担が一般的です。特定活動55号の詳細はこちら。
採用から乗務開始までの全体ロードマップは、外国人ドライバー採用ロードマップでも図解しています。
6.長期定着のカギ——キャリアパス設計が離職率を下げる理由

コストをかけて採用した外国人ドライバーが、1〜2年で離職してしまうケースが業界全体で増えています。離職理由の多くは「給与への不満」ではなく、「将来の見通しが立たない」「次のステップが見えない」という不安です。定着率向上のカギは、入社時に具体的なキャリアパスを提示することにあります。
特定技能1号→2号→永住の3段階キャリアロードマップ

定着を阻む3大原因と企業ができる具体的対策

外国人ドライバーの受け入れ体制と定着支援については、外国人ドライバーの受け入れ体制を整える方法で詳しく解説しています。
7.よくある質問(FAQ)
Q1. 外国人ドライバーをパート・アルバイトで採用することはできますか?
特定技能1号の外国人については、パート・アルバイトでの採用は原則認められません。特定技能1号では、同等の日本人が通常従事する業務と同等の報酬を受けることが要件とされており、時給制のアルバイトでは条件を満たしにくいためです。実務上はフルタイムの直接雇用(正社員または週30時間以上の有期契約)が要件となっています。一方、永住者・定住者等の身分系在留資格を持つ外国人であれば、パートタイム採用も可能です。
Q2. 採用した外国人ドライバーが途中で転職してしまうリスクはありますか?
特定技能1号は、同一業種内であれば転職が可能です。そのため、採用後の定着対策が非常に重要です。ただし、転職には在留資格変更申請が必要で、審査に2〜3ヶ月かかるため、即日転職はできません。給与水準・住環境・キャリアパスの充実が、在籍継続の最大の動機付けになります。入社後3〜6ヶ月は特に離職リスクが高いため、この期間の手厚いサポートが重要です。
Q3. Gマーク(安全性優良事業所)を持っていないと特定技能ドライバーを採用できませんか?
トラック運送業で特定技能1号を受け入れるには、Gマーク(一般貨物自動車運送事業の安全性優良事業所認定)または「働きやすい職場認証(一つ星以上)」の取得が必須です。どちらも取得していない事業所は特定技能の申請ができません。Gマークの認定取得には申請から約3〜6ヶ月かかります。詳しくはGマーク取得の流れと要件をご確認ください。
Q4. 採用後に外国人ドライバーが交通事故を起こした場合、企業の責任はどうなりますか?
外国人ドライバーが業務中に起こした交通事故は、使用者責任(民法715条)に基づき企業も損害賠償責任を負う可能性があります。これは日本人ドライバーの場合とまったく同様です。任意保険の加入(対人・対物補償)、安全運転教育の実施、デジタルタコグラフ・ドライブレコーダーによる運行管理が、リスク軽減の基本対策です。外国人特有のリスクとして、交通ルールの理解不足があるため、入社時の日本語版安全教育マニュアルの整備も重要です。
Q5. 外国人ドライバーを採用できる国籍に制限はありますか?
在留資格「特定技能」は、日本政府と二国間協定(特定技能協定)を締結した国の国民が対象です。2026年5月時点では、フィリピン・インドネシア・ネパール・ベトナム・カンボジア・タイ・モンゴル・ミャンマー・スリランカ・中国・バングラデシュ・ウズベキスタン・パキスタン・インドなどが締結済みです。永住者・定住者・日本人の配偶者等の身分系在留資格については国籍制限なしで採用できます。最新の締結国情報は出入国在留管理庁の公式サイトで確認してください。
8.この記事のまとめ
特定技能「自動車運送業」1号は直接雇用(正社員・有期直接雇用)のみ対象。派遣での受け入れは入管法で禁止されている
正社員採用できる在留資格は「特定技能1号・永住者・定住者・日本人の配偶者等」が主軸。技能実習・技人国・留学はドライバー業務に就かせると不法就労
給与は日本人と同等以上(同一賃金同一労働の原則)。業種・経験別の月給相場はトラック25〜42万円、タクシー22〜40万円(歩合込)が目安
5年間の総採用コストは紹介会社経由で230〜330万円、自社採用で170〜260万円。助成金活用でさらにコスト削減が可能
乗務開始まで、国内在留者採用なら3〜4ヶ月、海外から呼び寄せる場合は5〜8ヶ月が目安
定着率向上のカギは「入社時のキャリアパス提示(1号→2号→永住)」と「住居・コミュニケーション環境の整備」の2点





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