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特定技能と技能実習の違いを徹底解説|外国人ドライバー採用で失敗しないためのポイント

  • 執筆者の写真: 高橋 壮
    高橋 壮
  • 10月30日
  • 読了時間: 14分
特定技能と技能実習の違いを徹底解説|外国人ドライバー採用で失敗しないためのポイント

目次:


日本の物流業界では、少子高齢化の影響により深刻な人手不足が続いています。特にトラックドライバーの高齢化が進み、若手の確保が課題となる中、外国人ドライバーの採用が注目されています。実際に、特定技能制度の導入以降、多くの企業が即戦力として海外人材を受け入れ始めました。


しかし一方で、「技能実習」と「特定技能」の違いを正しく理解できていない企業も少なくありません。制度の目的や採用ルールを誤解すると、思わぬトラブルや採用ミスマッチにつながることもあります。


本記事では、両制度の特徴と違いをわかりやすく整理し、外国人ドライバー採用を成功させるためのポイントを解説します。


1.技能実習制度とは? ―「育成」を目的とした制度


技能実習制度は、日本が持つ技術や知識を開発途上国へ移転し、国際的な人材育成を支援することを目的とした制度です。日本企業で実際に働きながら技能を学び、帰国後に母国の発展に貢献できる人材を育てることが狙いです。単なる労働力確保ではなく、「学ぶための就労」という位置づけが特徴です。


制度の背景(1993年創設、国際貢献の一環)


技能実習制度は1993年に正式に制度化されました。背景には、日本の高度な産業技術を国際社会に還元し、アジアを中心とした開発途上国の人材育成に貢献するという理念があります。


当初は研修制度として始まりましたが、企業の受け入れニーズが高まり、より実践的な「実習」という形に発展しました。この制度は、国際協力の一環としてスタートしたものの、現在では日本の中小企業が人手不足を補う重要な手段としても位置づけられています。


ただし、本来の目的は「労働」ではなく「技能移転」である点を理解することが大切です。


主な目的:日本の技術を開発途上国に移転する


技能実習制度の中心的な目的は、日本の産業で培われた技能やノウハウを、開発途上国の若者に伝えることです。


これにより、帰国後に母国の産業発展を支える人材を育成することが期待されています。たとえば、溶接や建設、食品加工など、日本で学んだ技能を地元企業で活かすケースが多く見られます。実習生にとっては「学びの場」であり、企業にとっては国際協力を実践する機会です。


しかし、労働力確保の手段として誤用されると、本来の目的から逸れてしまうため、制度の趣旨を理解した上で受け入れる姿勢が求められます。


対象職種とドライバー職が対象外である理由


技能実習制度で対象となるのは、製造業や建設業、介護など、技能の移転が明確に定義できる職種に限られています。


一方で、トラックドライバーや運送業務などは「単純労働」とみなされ、技能の移転性が低いと判断されてきました。そのため、物流分野のドライバー職は制度の対象外とされています。さらに、交通法規や運転免許制度が国ごとに異なることも理由の一つです。


つまり、日本独自の運転ルールや安全基準をそのまま他国に移転するのは難しく、実習の目的にそぐわないとされてきました。この点が、後述する特定技能制度との大きな違いとなります。


実習生が就労できる期間(最大5年)と転職不可の制約


技能実習生は、原則として最長5年間の在留が認められています。1年目は技能実習1号として基礎的な技能を学び、試験に合格すると2号・3号へと進み、計5年まで延長可能です。ただし、在留中の転職は原則認められていません。


これは、あくまで「技能を学ぶ場」が特定の企業であることを前提にしているためです。そのため、労働環境に問題があっても容易に職場を変えられず、実習生にとって不利な立場になるケースも指摘されています。


企業側もこの制度を「教育の一環」として運用する責任があり、単なる人手確保の手段とすることは避けるべきです。



実習計画・監理団体・受入企業の三層構造(制度の仕組み解説)


技能実習制度は、複数の組織が関わる三層構造で成り立っています。まず、受け入れ企業は実習生の教育や労働環境を整備し、具体的な実習計画を作成します。


その計画を監理するのが「監理団体」と呼ばれる中間組織で、受け入れ企業の指導や監査を行う役割を担っています。そして全体を監督するのが「外国人技能実習機構(OTIT)」です。これにより制度の適正運用を確保しています。


しかし、仕組みが複雑なため、現場での理解不足や運用ミスも起こりやすいのが実情です。企業が制度を正しく理解し、監理団体と連携を取りながら受け入れることが、トラブル防止の第一歩となります。


特定技能 運送業分野社員採用について




2.特定技能制度とは? ―「即戦力」を確保する新制度


特定技能制度とは? ―「即戦力」を確保する新制度

特定技能制度は、日本国内の深刻な人手不足を補うために2019年に新設された在留資格制度です。従来の「技能実習」が育成を目的としていたのに対し、特定技能は「即戦力となる外国人を受け入れる」ことを主眼としています。特に、物流や介護、外食など人材不足が顕著な分野で導入が進んでいます。


2019年施行/労働力確保を目的とする在留資格


この制度は、政府が「外国人材の受け入れ拡大」を掲げた働き方改革の一環として2019年に施行されました。人口減少が進む中、日本の産業を維持するためには、即戦力として働ける外国人の存在が欠かせないという社会的背景があります。


特定技能は、単なる一時的な労働力ではなく、一定の知識や技能を持ち、現場で即座に活躍できる人材を対象にしています。また、実習制度よりも雇用条件が明確で、企業と労働者が対等な立場で契約を結ぶことが特徴です。


そのため、外国人が長期的に日本で働きながらキャリアを築ける制度として注目されています。



対象分野(14分野のうち物流業が含まれる)


特定技能制度では、現在14の業種が対象分野として認定されています。代表的な分野には、介護、外食、建設、農業、製造業、清掃、宿泊、そして「物流業(運送分野)」が含まれます。


物流業は2022年に新たに追加され、トラックドライバーや倉庫作業員など、運送に関わる職種が対象となりました。これは、慢性的な人手不足と高齢化により、国内の輸送力を維持するために不可欠な措置といえます。


特定技能の導入により、外国人が日本の運送業界で正社員として活躍する道が開かれ、企業にとっても安定的な人材確保が可能になりました。



「特定技能1号」と「2号」の違い


特定技能制度には「1号」と「2号」の2つの区分があります。1号は現場で実務を担うレベルで、試験に合格すれば最長5年間の在留が可能です。ただし、家族の帯同は認められていません。


一方、2号は1号よりも高度な技能を持つ熟練労働者を対象としており、在留期間の上限がなく、家族を日本に呼び寄せることもできます。


物流業界では、まず特定技能1号からの採用が一般的ですが、今後は経験を積んだドライバーが2号へ移行し、長期的な戦力となるケースも増えていくでしょう。


特定技能試験と日本語能力要件(JLPT/N4)


特定技能で働くためには、専門分野ごとの技能試験と日本語能力試験の両方に合格する必要があります。技能試験では、職種ごとに定められた作業内容を実践的に評価します。


たとえば物流分野では、運転技術や安全知識、積み下ろし作業の理解などが問われます。日本語能力については、日本語能力試験(JLPT)でN4レベル以上、または同等の日本語基礎テストに合格することが求められます。


N4レベルは「日常的な会話が理解できる程度」とされ、職場での基本的なコミュニケーションを問題なく行える水準です。この2つを満たすことで、在留資格「特定技能1号」を申請できるようになります。



登録支援機関による支援体制と義務内容


特定技能外国人を受け入れる企業は、登録支援機関と契約し、外国人の生活と労働をサポートする義務があります。支援内容は多岐にわたり、入国時の空港送迎、住居探しのサポート、日本語学習の支援、生活オリエンテーション、行政手続きの同行などが含まれます。


また、就労中の相談対応や定期的な面談も行われ、外国人が安心して働ける環境を整備することが求められます。登録支援機関は、企業と外国人の橋渡し役として重要な存在であり、制度の適正運用を支える要となります。


特ドラWORKSのように、採用から生活支援まで一貫対応する機関を活用することで、企業側の負担を大きく減らすことが可能です。


3.【比較表】技能実習 vs 特定技能


【比較表】技能実習 vs 特定技能

比較項目

技能実習

特定技能

制度の目的

技能移転・国際貢献

即戦力確保

就労期間

最大5年

最長5年(更新・永続可)

転職の可否

不可

条件付きで可能

家族帯同

不可

2号で可能

対象職種

製造・介護など約80職種(運送除外)

12分野(運送含む)

雇用契約

実習計画に基づく

通常の労働契約

管理体制

監理団体が必須

登録支援機関が支援

目的の方向性

国際協力型

労働力確保型



4.外国人ドライバー採用における実務上の違い


外国人ドライバー採用における実務上の違い

外国人ドライバーを採用する際は、技能実習制度とは異なり、特定技能制度に基づいた明確な雇用契約と支援体制が必要です。業務内容や在留資格の要件を満たすことはもちろん、登録支援機関との連携、生活サポートなどの仕組みを整えることが重要です。以下で実務的な違いを具体的に見ていきましょう。


特定技能で採用できる職種


特定技能制度では、物流業の中でも「輸送サービス」に関連する職種が対象となっています。具体的には、トラックドライバー、ルート配送員、倉庫内での積み込み・仕分け作業などが該当します。


これらの職種は、現場の即戦力として求められるスキルが多く、一定の運転技術や安全知識を持つ外国人が採用対象となります。また、国内の中型・大型免許を取得してから就労するケースもあり、日本での運転ルールをしっかりと理解していることが前提です。


これにより、企業は即戦力としての人材を確保できる一方、受け入れ体制の整備や教育サポートも欠かせません。



必要な受入体制(登録支援機関との契約・生活支援項目)


外国人ドライバーを採用する企業は、登録支援機関と契約を結び、外国人の生活支援を行う義務があります。支援内容には、入国後の生活ガイダンス、住居探し、銀行口座や携帯電話契約のサポート、日本語学習の支援などが含まれます。


さらに、仕事面では労働条件の説明や安全教育の実施、定期的な面談によるフォローアップも求められます。これらのサポートを怠ると、制度違反とみなされることがあるため注意が必要です。


登録支援機関と密に連携し、外国人が安心して働ける環境を作ることが、採用の成功につながります。特ドラWORKSのような専門機関を活用すれば、企業側の事務負担を大きく減らすことが可能です。



給与・労働条件は日本人と同等が原則


特定技能で働く外国人ドライバーの給与や労働条件は、日本人と同等以上でなければなりません。これは「均等待遇の原則」と呼ばれ、在留資格の審査においても重要な要件です。


たとえば、基本給や残業手当、社会保険の加入状況などが日本人社員と同レベルである必要があります。実際の相場としては、月給25〜35万円程度が一般的で、地域や経験によって差があります。


また、休日・労働時間・福利厚生などの条件も明記し、外国人に理解できる言語で説明することが求められます。こうした透明性の高い労務管理を行うことで、外国人社員の定着率を高めることにもつながります。



特定技能ドライバーの在留資格取得の流れ


特定技能ドライバーとして就労するには、いくつかのステップを踏む必要があります。


  1. 技能評価試験合格:物流分野の技能試験に合格し、必要な実務スキルを証明します。

  2. 日本語試験合格:日本語能力試験(JLPT N4以上)または同等の日本語基礎テストに合格する必要があります。

  3. 受入企業との雇用契約:試験合格後、特定技能としての雇用契約を締結します。給与・勤務条件を明確に定めることがポイントです。

  4. 在留資格申請 → 就労開始:入管庁へ在留資格「特定技能1号」を申請し、許可が下り次第、日本国内での就労が可能となります。


この一連の流れをスムーズに行うためには、登録支援機関と連携しながら進めることが重要です。特ドラWORKSのような専門サポートを利用すれば、申請から就労開始までの手続きがスムーズに進められます。


特定技能 運送業分野社員採用について




5.企業が抱える課題と成功のポイント


企業が抱える課題と成功のポイント

外国人ドライバーの採用を検討する企業にとって、特定技能制度は魅力的な選択肢ですが、制度理解の不足やサポート体制の整備不足が課題となっています。成功の鍵は、制度の正確な運用と、登録支援機関との協力体制を築くことです。


現場での教育や生活面の支援を充実させることで、外国人ドライバーが長く働ける環境をつくれます。


技能実習との比較で戸惑う企業の課題(制度理解不足・支援体制の不備)


多くの企業が特定技能制度の導入に踏み切る際、まず直面するのが「制度の違い」に対する戸惑いです。


技能実習制度では監理団体が中心的な役割を担っていましたが、特定技能では企業自身に支援体制を整える義務が生じます。この違いを理解していないまま採用を進めると、在留資格申請の不備や支援義務の未履行といったトラブルにつながることがあります。


また、外国人社員の生活支援を軽視すると、離職やモチベーション低下の原因にもなりかねません。制度を「労働力確保の手段」としてではなく、長期的な雇用戦略の一部として捉えることが重要です。



成功企業の共通点:登録支援機関との連携/生活支援・教育体制の整備


特定技能ドライバーの受け入れに成功している企業には、いくつかの共通点があります。まず、登録支援機関との連携を密に取り、採用から在留申請、生活支援まで一貫したサポート体制を構築している点です。


さらに、就労後も定期的に面談を行い、日本での生活や職場環境に適応できているかを確認しています。教育面では、安全運転講習や日本語研修を取り入れ、スキルとコミュニケーションの両面を強化しています。


こうした取り組みを行うことで、外国人ドライバーの定着率が向上し、企業全体の人材安定にもつながります。単なる「雇用」ではなく「共に成長する姿勢」が、成功のカギを握っています。


GLORY OF BRIDGE・特ドラWORKSの支援実績紹介


GLORY OF BRIDGEおよび特ドラWORKSは、特定技能ドライバーの採用・支援において数多くの実績を持つ専門機関です。企業と外国人の双方が安心して雇用関係を築けるよう、採用段階から在留資格申請、入国後の生活支援までワンストップで対応しています。


たとえば、現地面接のサポートや、入国後の運転研修、日本語教育の提供など、現場に密着した支援を行っています。さらに、受け入れ企業には制度運用の研修や法的サポートも提供しており、初めて外国人を採用する企業でも安心です。



6.よくある質問(FAQ)


よくある質問(FAQ)

Q1. 特定技能ドライバーはどのように採用できますか? 


→ 特定技能の在留資格を持つ外国人を直接採用するか、登録支援機関を通じて紹介を受ける形になります。 採用前には「技能試験」と「日本語試験(N4以上)」の合格が必要です。特ドラWORKSなど支援機関を活用すれば、採用から在留資格手続きまで一貫してサポートを受けられます。


Q2. 技能実習から特定技能に移行することは可能ですか? 


→ はい、可能です。技能実習を3年間修了した実習生は、同一分野であれば「特定技能1号」に移行できます。 ただし、職種が異なる場合は技能試験を受け直す必要があります。物流分野の場合は、「運転職」が新たに対象となったため、実習経験を活かしたキャリアパスも開けています。


Q3. 特定技能ドライバーの給与水準はどのくらいですか? 


→ 原則として「日本人ドライバーと同等以上」である必要があります。 実際には地域や企業によりますが、月給25〜35万円前後が相場です。加えて、住居支援や生活サポートを提供する企業も多く、総合的な待遇改善が進んでいます。


特定技能 運送業分野社員採用について




7.まとめ:これからの外国人雇用は「特定技能」中心へ


まとめ:これからの外国人雇用は「特定技能」中心へ

日本の物流業界では、深刻なドライバー不足を背景に、外国人材の活用が今後ますます重要になります。これまで技能実習制度を利用してきた企業も多いですが、制度の目的や柔軟性を考えると、これからの時代は「特定技能制度」が主流になるといえるでしょう。


特定技能は、即戦力としての雇用が可能であり、雇用契約も日本人と同等の条件で締結できる点が大きな魅力です。また、登録支援機関の存在により、企業側の負担を軽減しながら適切なサポートが受けられる仕組みも整っています。


今後は、単なる労働力としてではなく、「共に働き、共に成長する仲間」として外国人ドライバーを受け入れる姿勢が求められます。制度を正しく理解し、適切に運用することで、企業の持続的な発展と物流業界全体の安定化につながるでしょう。




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