外国人ドライバーの寮・社宅の準備|特定技能の住居基準と寮費の決め方

「外国人ドライバーを採用したいが、住まいをどう用意すればいいのか分からない」。受入れを検討する運送会社から、よく聞く悩みです。寮があれば足りるのか、寮費はいくらにしてよいのか、迷う点は少なくありません。
特定技能の外国人を受け入れる場合、住居の確保は会社側が行う支援の一つとして決められています。広さや費用の基準を押さえたうえで、点呼の時間や通勤まで考えた住まい選びの進め方を整理します。
📋 目次
1.住居の準備は「受入れ側の支援」の一部
特定技能1号の外国人を受け入れる会社は、住居の確保を支援する必要があります。寮や社宅を用意する方法と、本人が借りる部屋探しを手伝う方法があります。どちらを選ぶかは、営業所の立地と本人の希望で決めます。
特定技能1号の外国人を受け入れる会社には、「1号特定技能外国人支援計画」を作り、実行する義務があります。支援計画とは、仕事や日常生活を支えるための計画のことで、登録支援機関に委託することもできます。住居の確保はその義務的な支援の一つです(出典:出入国在留管理庁「1号特定技能外国人支援に関する運用要領」2025年4月一部改正版)。
支援の方法は、大きく分けて2つです。会社が持つ社宅や借り上げた寮を、本人の合意のうえで提供する方法と、本人が自分で部屋を借りるときに手続きを助ける方法です。
運送会社では早朝の点呼や深夜の帰庫があるため、営業所の近くに寮を用意すると通勤の負担を減らせます。一方で、すでに日本で暮らしている人材なら、今の住まいから通う選択肢もあります。
2.特定技能で求められる住居の基準(2026年10月時点)
寮や社宅を提供する場合、居室の広さは1人当たり7.5㎡以上が基準です。本人が部屋を借りる場合は、保証人の問題を会社が解決する必要があります。基準を下回る部屋は、そもそも候補から外して探します。
運用要領で示されている主な基準は次のとおりです(出典:出入国在留管理庁 運用要領 2025年4月一部改正版)。
項目 | 基準の内容 |
居室の広さ | 1人当たり7.5㎡以上。複数人で住む場合は、居室全体の面積を人数で割って7.5㎡以上 |
広さの例外 | 技能実習2号などから移行する人が、今の社宅に住み続けたい場合は、寝室が1人当たり4.5㎡以上で足りる |
居室の数え方 | 建築基準法上の「居室」で数える。ロフトなどは含まない |
本人が借りる場合 | 適当な連帯保証人がいないときは、会社が連帯保証人になるか、家賃保証会社を確保して会社が緊急連絡先になる |
1人当たり7.5㎡なので、2人部屋なら、居室の合計で15㎡以上が必要になります。ロフトを寝室として数えられない点は、物件探しで見落としやすいので注意します。
本人が借りる場合は、不動産会社によっては外国籍の入居者に慣れていないこともあります。会社の担当者が内見や契約に同行すると、手続きが進みやすくなります。
3.寮費・家賃はいくらまで受け取れるか
寮費は、会社が利益を得ない範囲で決める必要があります。借り上げなら実際の家賃を入居者数で割った額以内、自社所有なら建築費や耐用年数などをもとにした合理的な額が基準です。金額の根拠を説明できるようにしておくことが大切です。
運用要領では、社宅を提供するときの費用の考え方が次のように示されています(出典:出入国在留管理庁 運用要領 2025年4月一部改正版)。
費用の種類 | 考え方 |
借り上げ物件の寮費 | 管理費・共益費を含む借上げ費用を、入居者数で割った額以内。敷金・礼金・仲介手数料などは含めない |
自社所有物件の寮費 | 建設・改築の費用、耐用年数、入居者数などを考えた合理的な額 |
家賃保証会社の保証料 | 会社が負担する |
敷金・礼金 | 原則は本人の負担。会社が全部または一部を負担してもよい |
家具・家電、保険料 | 受け取る場合は、実費の範囲内で合理的な額にし、本人が内容を十分理解して合意していること |
運用要領は、社宅を貸して会社が経済的な利益を得てはならないとしています。日本人社員の寮費と比べて高すぎないかも、あわせて確認しておくと安心です。
たとえば月6万円で借りた2DKに2人が住むなら、1人当たりの寮費は3万円以内が目安になります。家電をそろえて費用を受け取る場合も、購入額をもとに説明できる金額にします。
4.給与から寮費を差し引くときの手続き
寮費を給与から差し引くには、労働者の代表と書面で労使協定を結ぶ必要があります。協定の届出は不要ですが、社内への周知は必要です。協定がないまま差し引くと、賃金の全額払いの原則に反するおそれがあります。
労働基準法第24条では、賃金は原則として全額を支払うことになっています。税金や社会保険料のように法令で決まっているもの以外を差し引くには、労使協定が必要です(出典:厚生労働省 相模原労働基準監督署リーフレット)。
協定の相手は、労働者の過半数で作る労働組合です。ない場合は、労働者の過半数を代表する人と書面で結びます。リーフレットでは、差し引けるものの例として寮費や食事代、駐車場代が挙げられています。
外国人ドライバーには、給与明細の見方を最初に説明しておくことが大切です。「総支給額」「控除」「差引支給額」の意味を、具体的な数字で一緒に確認します。手取りが思ったより少ないという誤解は、不満や離職のきっかけになることがあるからです。
5.運送会社ならではの住まい選びのポイント
ドライバーの住まいは、点呼の時間と休息の確保から逆算して選びます。営業所から遠すぎると、休息期間の中で通勤に時間をとられます。通勤手段と生活のしやすさを、入居前に一緒に確かめておきます。
トラック運転者の改善基準告示は、勤務と勤務の間の「休息期間」を定めています。継続11時間以上を基本とし、9時間を下回らないこととされています(出典:厚生労働省 自動車運転者の長時間労働改善に向けたポータルサイト)。通勤時間はこの休息期間の中に入るため、通勤が長いほど、実際に眠れる時間は短くなります。
来日直後は日本の運転免許をまだ持っていない場合もあるため、通勤手段も考えておきます。徒歩や自転車で通える距離か、早朝や深夜に公共交通があるかを確かめます。
生活面では、スーパーや病院が近いか、ごみ出しのルールが分かりやすいかもポイントです。同じ寮に住む人どうしで、出勤時間が大きく違うと生活音が気になることもあります。配車の時間帯が近い人を同じ部屋にするなど、小さな工夫が暮らしやすさにつながります。
住まいでの困りごとは、日本に暮らす外国人が直面する7つの問題でも詳しく紹介しています。
6.入居の前後に会社がやること
部屋を用意して終わりではなく、銀行口座や携帯電話、電気・ガス・水道の契約も支援の対象です。入居後も定期的な面談で、住まいの困りごとを早めに拾います。最初の1か月は特に、声をかける回数を増やすと安心です。
運用要領では、銀行口座の開設や携帯電話、電気・ガス・水道などの契約について、手続きの補助を行うこととされています。必要な書類を伝え、窓口を案内し、必要に応じて同行します(出典:出入国在留管理庁 運用要領 2025年4月一部改正版)。
口座や携帯電話の手続きの流れは、日本で携帯・銀行口座を作るには?にまとめています。
入居後は、支援計画にもとづく定期的な面談があります。運用要領では、本人と、直接の上司など監督する立場の人の双方と、3か月に1回以上面談することとされています。住まいの悩みは仕事の悩みと結びつきやすいため、面談では寮の様子も毎回聞く項目に入れておきます。
特ドラWORKSの場合:特ドラWORKSを運営する株式会社GLORY OF BRIDGEは、登録支援機関(21登-006792)です。インドネシア人ドライバーをご紹介した後も、登録支援機関として受入れ企業と本人の両方を支援しています。住まいの準備で迷ったときも、早い段階からご相談いただけます。
7.自社の住居準備チェック
次の8項目で、外国人ドライバーを迎える住まいの準備ができているかを確認できます。当てはまらない項目は、内定から入国までの間に手を打ちます。特に広さと寮費の根拠は、書類の準備にも関わります。
✓ 住まいの方法を決めた(社宅・借り上げ寮・本人が借りる、のどれにするか)
✓ 1人当たり7.5㎡以上を確認した(ロフトを除いた居室の面積で計算)
✓ 寮費の根拠を説明できる(借上げ費用÷入居者数以内か、合理的な額か)
✓ 家具・家電の費用を整理した(受け取るなら実費の範囲内で、本人の合意をとる)
✓ 賃金控除の労使協定がある(寮費を給与から差し引く場合)
✓ 通勤手段を確かめた(早朝・深夜の点呼に間に合うか)
✓ 生活の契約を支援する担当者がいる(口座・携帯・ライフライン)
✓ 入居後の相談ルートがある(定期面談で住まいのことも聞く)
7項目以上に当てはまれば、受入れの準備はかなり進んでいます。5項目以下の場合は、物件探しと寮費の決め方から見直すのがおすすめです。
8.よくある質問
外国人ドライバーの住まいについて、受入れ企業からよく寄せられる質問をまとめました。細かな基準は、出入国在留管理庁の運用要領の最新版で確認してください。
質問 | 回答 |
寮を用意しないと受け入れられませんか? | いいえ。本人が自分で部屋を借りる場合もあります。その場合は、部屋探しや契約、保証人の問題などを会社が支援します。 |
2人部屋でも大丈夫ですか? | 居室全体の面積を人数で割って、1人当たり7.5㎡以上あれば可能です。ロフトなどは面積に含めません。 |
寮費は日本人と同じ額にすべきですか? | 運用要領は、借上げ費用を入居者数で割った額以内など、会社が利益を得ない範囲を求めています。同じ寮なら同じ考え方で決めるのが自然です。 |
敷金や礼金は誰が払いますか? | 原則は本人の負担です。ただし会社が全部または一部を負担することもできます。 |
寮費を給与から差し引けますか? | 労働者の代表と書面の労使協定を結べば、差し引くことができます。届出は不要ですが、社内への周知が必要です。 |
家電をそろえて費用をもらってもいいですか? | 実費の範囲内で合理的な額であり、本人が内容を十分理解して合意していれば受け取れます。 |
9.まとめ
外国人ドライバーの住まいは、制度の基準と、運送の仕事ならではの事情の両方から考えます。広さ、費用、手続き、通勤の4点を押さえれば、大きな失敗は防ぎやすくなります。入居後の声かけまで含めて準備しましょう。
住居の確保は、特定技能1号の受入れ企業が行う義務的な支援の一つ
寮や社宅の広さは、1人当たり7.5㎡以上が基準
寮費は、会社が利益を得ない範囲で、根拠を説明できる額にする
給与から寮費を差し引くには、書面の労使協定が必要
点呼の時間と休息期間から逆算して、営業所に通いやすい場所を選ぶ
入居後も定期面談などで、住まいの困りごとを早めに拾う
住まいの準備は、外国人ドライバーが安心して働き続けるための土台です。受入れの全体の流れや費用感を知りたい方は、資料もあわせてご覧ください。定着の工夫は外国人トラックドライバーの定着率を上げる5つのポイントでも紹介しています。





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