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外国人ドライバーの冬道対策|雪道・チェーン規制と冬前の安全教育

2 時間前
読了時間: 10分
外国人ドライバーの冬道対策|雪道・チェーン規制と冬前の安全教育

「雪道を走ったことがないドライバーに、冬の運行を任せて大丈夫だろうか」。外国人ドライバーを受け入れて初めての冬を迎える運送会社にとって、気になる点の一つです。雪が降り始めてからでは、準備の時間は多く取れません。


冬道の安全は、運転の腕だけでは決まりません。タイヤ交換の作業、チェーンの準備、点呼での指示、運行を止める判断まで、会社の仕組みで支える部分が大きいからです。この記事では、2026年10月時点の公的情報をもとに、冬前に運送会社がやっておきたいことを整理します。


📋 目次


1.冬のトラックで起きやすいトラブル


冬は、スリップや立ち往生に加えて、タイヤ交換後の車輪脱落が増える季節です。運転技術の指導と、車両整備の確認を、冬前にセットで進めることが大切です。


国土交通省によると、2024年度の大型車の車輪脱落事故は120件でした。そのうち約56%が12月から2月に集中しています(出典:国土交通省「令和6年度大型車の車輪脱落事故発生状況」2025年)。


脱落した車輪の約92%は左後輪でした。また、約45%はタイヤの脱着作業から1か月以内に起きています。冬用タイヤへの交換が、事故のきっかけになりやすいことが分かります。


雪や凍結した路面では、止まるまでの距離が長くなります。さらに、大雪の峠道では大型車が動けなくなり、長い渋滞の原因になることもあります。どれも、国籍に関係なく、冬の運行に慣れていないドライバーほど注意が必要な場面です。


2.雪道の経験は、人によって大きく違う


雪道の経験は、出身地や経歴によって大きく異なります。外国人か日本人かではなく、一人ひとりの経験を確かめて、指導の重点を決めることが大切です。


インドネシアのように雪がほとんど降らない地域から来たドライバーにとって、雪道は初めての経験になることがあります。ただし、これは日本人でも同じです。雪の少ない地域で運転してきた人は、チェーンを巻いたことがない場合もあります。


まず、ドライバー全員に、雪道や凍結路を走った経験、チェーン装着の経験を聞いておきましょう。経験がない人には、冬前の練習と、最初の冬の運行ルートの配慮が必要です。


特ドラWORKSの場合:インドネシア・ソロの市街地で、一般車と一緒に走る同乗走行面接を行い、運転のセンスや特性を見ています。確認の丁寧さや速度の判断といった特性は、冬道の指導で重点を決めるときの手がかりにもなります。


日本の交通ルールで戸惑いやすい点は「外国人ドライバーがよく間違える交通ルールの記事」でも紹介しています。


3.押さえておきたい冬の規制:チェーン規制


大雪のときは、スタッドレスタイヤを履いていても、チェーンがなければ通れない区間があります。規制の意味をドライバーが理解し、チェーンを積んで走ることが前提になります。


チェーン規制は、大雪特別警報や、大雪に対する緊急発表が出るような異例の降雪のときに行われます。対象は、急な坂のある峠など、過去に立ち往生や通行止めが起きた区間です(出典:国土交通省「チェーン規制」)。


項目

内容(2026年10月時点)

実施するとき

大雪特別警報や大雪に対する緊急発表が出るような異例の降雪時

スタッドレスタイヤの車

チェーンを着けていなければ、規制中は通行できない

チェーンを着ける位置

駆動輪に着けるのが基本

使えるチェーン

金属製、樹脂製、布製など市販のもの。スプレー式の薬剤は不可

規制区間

国土交通省の一覧に、直轄国道と高速道路の13区間が掲載


規制区間は、国土交通省のホームページで確認できます。冬に該当する道路を走るルートがある場合は、配車表に印を付けておくと、点呼での注意喚起がしやすくなります。


運送会社に求められていること


国土交通省は、トラック事業者に対し、大雪で安全に支障が出るおそれがあるときは、運行の中止を含めて必要な措置をとるよう求めています。冬用タイヤの溝の深さや、滑り止めの措置を確認することも挙げています(出典:国土交通省 報道発表 2024年11月)。


雪道で悪質な立ち往生が起きた場合は、監査で事実関係が確認されます。措置が不十分と判断されれば、行政処分の対象になります。ドライバー個人の問題ではなく、会社の安全管理として備える必要があります。


トラックの運転席で親指を立てるドライバー

4.冬前の最優先:タイヤ交換と車輪脱落の防止


冬用タイヤへの交換は、作業の手順と交換後の増し締めまでが一つの作業です。ドライバーにも、なぜ増し締めが必要なのかを理解してもらうことが、脱落事故の予防につながります。


国土交通省の調査では、車輪脱落の原因の68%が作業時の不備、31%が保守管理の不備でした。具体的な内訳は次のとおりです(出典:国土交通省 2025年)。


主な原因

割合(2024年度)

締付力の管理が不十分

41%

潤滑剤の塗布が不適切

21%

増し締めをしていない

16%

点検時の確認が不十分

10%

劣化・摩耗の確認や清掃が不十分

6%


国土交通省は、タイヤ交換の際の作業として次の点を呼びかけています。ナットの確認と清掃、潤滑剤の塗布、ナットが滑らかに回るかの確認、交換後の増し締めです。積雪予報の直後は作業が集中してミスが起きやすいため、時期を分散することも求めています(出典:国土交通省 報道発表 2024年10月)。


外国人ドライバーには、日常点検でナットの緩みを見るポイントを、写真や実物で見せながら教えるのが効果的です。「増し締め」という言葉自体が初めての人もいるため、言葉の意味から説明しましょう。



5.チェーン装着は「雪が降る前」に練習する


チェーンの装着は、雪の中で初めてやると時間がかかり、危険も増えます。晴れた日の車庫で、ドライバー自身の手で一度は着けてみることが大切です。


練習は、実際に使う車両とチェーンで行います。営業所の車庫で、指導役のドライバーが手本を見せ、本人が最後まで一人で着けられるかを確認します。


  • 手袋、ヘッドライト、敷物など、装着に使う道具の置き場所を決める

  • 安全に停められる場所の選び方と、停車中の後方への注意を教える

  • 装着後に少し走り、締め直す手順まで練習する

  • 夜間や寒い中での作業を想定し、時間に余裕を持つよう伝える


日本人ドライバーにとっては当たり前の作業でも、初めての人には一つひとつが新しい手順です。指導役には、手順を短い言葉で区切って伝えるよう頼んでおくと、理解が進みます。


6.点呼と配車で、冬の判断を仕組みにする


冬の安全は、ドライバーの判断に任せきりにしないことが基本です。点呼で天候と道路の情報を伝え、配車と運行中止の基準を会社として決めておきましょう。


乗務前点呼では、安全な運行に必要な指示を与えることが求められています(出典:国土交通省「貨物自動車運送事業輸送安全規則の解釈及び運用について」)。冬は、天気予報や通行止めの情報を点呼の中で伝え、チェーンの積み込みを確認する流れをつくると効果的です。


状況(例)

点呼での伝え方の例

配車・運行の対応の例

雪の予報が出ている

ルート上の峠と規制区間を地図で示す

雪に慣れたドライバーの配車を優先する

路面の凍結が心配

朝夕の橋や日陰の注意点を具体的に伝える

出発時間をずらし、余裕のある運行にする

大雪の緊急発表が出た

運行を見合わせる可能性を事前に伝える

荷主に早めに連絡し、運行中止を判断する


上の表は一例です。自社の地域やルートに合わせて、基準を文章にしておきましょう。経験の浅いドライバーは、「行けるところまで行こう」と無理をしがちです。止まってよい、連絡してよい、と事前に伝えておくことが安心につながります。


荷主との調整も欠かせません。大雪の予報が出た段階で、到着が遅れる可能性や運行を見合わせる基準を共有しておくと、当日の判断がしやすくなります。


7.立ち往生や事故のときの連絡ルール


トラブルが起きたときに、誰に、何を、どう伝えるかを決めておくことが大切です。日本語に不安があっても伝えられるよう、連絡の型を用意しておきましょう。


雪道で動けなくなったとき、経験の浅いドライバーは何から手をつけるべきか迷います。営業所への連絡先、伝える内容、待つ場所の判断などを、カードやスマートフォンのメモにまとめておくと落ち着いて行動できます。


  • どこにいるか(道路名、近くの目印、スマートフォンの位置情報)

  • 何が起きたか(動けない、滑った、ぶつかった)

  • けがをした人がいるか

  • 今の車の状態と、周りの交通の状況


事故を防ぐ取り組みは「外国人ドライバーの安全面と企業の対策の記事」、育成の進め方は「外国人ドライバーの研修・教育の記事」も参考になります。


特ドラWORKSの場合:登録支援機関として、受入れ後も相談対応などの支援を続けています。初めての冬の運行で不安を抱えるドライバーの声を、会社と一緒に受け止めます。


8.冬前の安全対策チェックリスト


次の8項目で、冬を迎える準備ができているかを確かめてみてください。外国人ドライバーに限らず、全員に共通する内容です。


  • ✓ ドライバー全員の雪道経験を把握している(チェーン装着の経験も確認)

  • ✓ 冬用タイヤへの交換時期を分散して計画している(積雪予報の直前を避ける)

  • ✓ タイヤ交換後の増し締めの手順が決まっている(誰がいつ行うかを明確に)

  • ✓ 日常点検でナットの緩みを見る方法を教えている(写真や実物で説明)

  • ✓ 全車にチェーンを積み、装着の練習をした(雪が降る前に車庫で)

  • ✓ 規制区間を通るルートを把握している(配車表に印を付ける)

  • ✓ 運行中止の判断基準を文章にしている(荷主とも事前に共有)

  • ✓ トラブル時の連絡の型を用意している(やさしい日本語で作成)


6項目以上当てはまれば、冬の運行に向けた土台はできています。5項目以下なら、まずタイヤ交換の計画とチェーンの練習から始めましょう。


9.よくある質問


質問

回答

スタッドレスタイヤなら、チェーンは不要ですか?

チェーン規制の区間では、スタッドレスタイヤでもチェーンがなければ通行できません。冬は積んでおくのが基本です。

チェーン規制はいつ行われますか?

大雪特別警報や、大雪に対する緊急発表が出るような異例の降雪のときに行われます。

スプレー式の滑り止めは使えますか?

国土交通省は、薬剤を吹き付けるタイプはチェーン規制区間で使えないとしています。

雪道が初めてのドライバーに冬の運行を任せられますか?

経験を確かめたうえで、練習と段階的な配車を行うのが現実的です。最初の冬はルートや時間に配慮しましょう。

タイヤ交換は業者に任せれば安心ですか?

業者が作業した場合も、交換後の増し締めや日常点検での確認は欠かせません。手順を社内で決めておきましょう。

大雪の日に運行を止めると、荷主に迷惑がかかります

国土交通省は、安全に支障が出るおそれがあるときは運行の中止も含めた措置を求めています。基準を事前に共有しておくと調整しやすくなります。


10.まとめ


冬道の安全は、ドライバーの経験と、会社の準備の両方で決まります。雪を知らないドライバーも、手順を学び、練習を重ねれば、冬の運行に少しずつ慣れていきます。冬が来る前の今が、準備を始めるよい時期です。


この記事の要点


  • 大型車の車輪脱落事故は12月〜2月に多く、タイヤ脱着後1か月以内の発生も多い

  • 雪道の経験は人それぞれ。国籍ではなく一人ひとりの経験を確かめる

  • チェーン規制の区間では、スタッドレスタイヤでもチェーンがないと通れない

  • タイヤ交換は増し締めまでが一つの作業。時期を分散して計画する

  • チェーン装着は雪が降る前に、車庫で本人が練習しておく

  • 点呼での情報共有と、運行中止の基準づくりで、判断を会社の仕組みにする


外国人ドライバーの受入れや、入社後の安全教育の進め方について相談したい方は、お気軽にお問い合わせください。サービスの詳しい内容は資料でもご覧いただけます。





 
 
 

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