特定技能ドライバーとは?制度や要件をやさしく解説
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運送業界やタクシー・バス業界で「人が足りない」という声を、最近とくによく耳にします。そんな中で外国人の方をドライバーとして迎え入れられる「特定技能ドライバー」という仕組みが気になって、この記事にたどり着いた方が多いのではないでしょうか。
とはいえ、いざ調べはじめると、制度がいつから始まったのか、トラック・タクシー・バスでどう違うのか、必要な試験や要件は何か、運転免許や外免切替はどうなるのか、給料や年収の相場はどれくらいか、受け入れ企業に求められる準備や採用の流れ、費用はどうなのか……と、知りたいことが次々に出てきますよね。日本語のレベルがN3なのかN4なのか、緩和の話もあって、正直わかりにくい。私も最初は同じように戸惑いました。
この記事では、特定技能ドライバーという制度の全体像を、はじめて調べる方にもできるだけやさしい言葉でまとめています。読み終わるころには、自分の知りたかったポイントがすっきり整理できて、次に何を確認すればいいのかが見えてくるはずです。どうぞ気軽に読み進めてください。

📋 目次
1.特定技能ドライバーとは?制度の基礎知識

まずは、特定技能ドライバーがどんな制度なのか、その土台となる部分から見ていきましょう。「いつから始まったの?」「どんな仕事を任せられるの?」「働くために何が必要なの?」といった、いちばん気になる基礎の部分をひとつずつ整理していきます。ここを押さえておくと、このあとの採用や費用の話もぐっと理解しやすくなりますよ。
いつから受け入れが始まったのか
特定技能ドライバーは、外国人の方が日本の自動車運送業でドライバーとして働ける、比較的新しい仕組みです。そもそも特定技能という在留資格は2019年に生まれた制度ですが、自動車運送業がその対象に加わったのは2024年3月29日の閣議決定から。ここからドライバー分野の歴史が動き出しました。
ただ、閣議決定ですぐにドライバーを雇えるようになったわけではありません。実際の受け入れに必要なルール、いわゆる「上乗せ基準告示」が施行されたのが2024年12月19日。このタイミングで、ようやく正式に受け入れができる状態になりました。評価試験のほうも2024年12月に運用が始まり、出張方式の試験は同年12月16日からスタートしています。
そして記念すべき第一歩として、トラック区分で初めての特定技能ドライバーが就労を開始したのは2025年3月28日のこと。まだ制度が動き出して間もない、できたてほやほやの分野なんですね。

受け入れの見込み数としては、令和6年(2024年)4月からの5年間で最大2万4,500人という上限が示されています。これは、同じ期間に見込まれる人手不足およそ28万8,000人のうち、生産性の向上や国内人材の確保を進めてもなお足りない分を補う、という位置づけ。それだけ業界の人手不足が深刻だということが、数字からも伝わってきます。
トラック・タクシー・バスの3区分
特定技能ドライバーと一口に言っても、実はひとくくりではありません。受け入れができるのはトラック運送業・タクシー運送業・バス運送業という3つの区分。それぞれ法律上の分類でいうと、トラックは道路貨物運送業、タクシーとバスは道路旅客運送業にあたります。
面白いのは、同じドライバーでも区分によって求められるものや仕事の性格がけっこう違うところ。ここを知っておくと、自社にどの区分が合うのか、あるいは自分がどの道を目指すのかがイメージしやすくなります。
区分 | 分類 | 仕事の性格 |
トラック | 道路貨物運送業 | 荷物の積み付け(荷役)の技能が重視される。要件は3区分の中で最もやさしめ |
タクシー | 道路旅客運送業 | 接遇や乗客対応、決済端末の操作、観光案内などコミュニケーション力が大事 |
バス | 道路旅客運送業 | 接遇に加えて定時運行や安全運行の責任が重い。公共交通を支える役割 |
トラックは「物」を運ぶ仕事なので、安全に運ぶための荷役スキルがポイント。一方でタクシーやバスは「人」を乗せる仕事ですから、お客さまとのやりとりや、いざというときの対応力が問われます。この性格の違いが、後ほど出てくる日本語要件や免許の違いにもつながってくるんですね。
任される業務内容と従事範囲
「特定技能ドライバーって、運転だけしていればいいの?」と思うかもしれませんが、実際にはもう少し幅があります。基本となるのは事業用自動車の運転と、それに付随する業務全般。この「付随する業務」というのがポイントです。
付随する業務とは、同じ会社で働く日本人ドライバーが普段の仕事として行っている範囲の作業を指します。たとえば運行前後の点検、安全な運行、乗務記録の作成、荷崩れを防ぐための貨物の積み付け、タクシーやバスであれば乗客対応や接遇など。こうした業務は、日本人ドライバーと同じように任せることができます。
ただし、すべての作業が無条件でできるわけではありません。いずれの業務も運行管理者の指導・監督のもとで行うのが前提です。そして見落としやすいのが、専門資格が必要な業務はできないという点。

就労に必要な要件と日本語レベル
では、外国人の方が特定技能ドライバーとして働くには、本人側にどんな条件が求められるのでしょうか。ここはとても大事なところなので、丁寧に見ていきましょう。
大きな枠としては、まず18歳以上であること。ただし運転免許には別途、中型は20歳以上、大型や第二種は原則21歳以上といった年齢要件があるので、実際にはこちらの方がハードルになることが多いです。そのうえで、区分ごとの技能評価試験に合格し、日本語の要件を満たし、対応する運転免許を保有している必要があります。健康状態や素行といった、特定技能に共通する一般的な要件も当然満たさなければなりません。
区分ごとに違う日本語レベル
日本語の要件は区分によって差があるのが特徴です。区分別にまとめると、次のようになります。
区分 | 日本語要件 | 必要な運転免許 | その他 |
トラック | JLPT N4以上(JFT-Basicや技能実習2号の良好修了でも可) | 第一種運転免許 | 特になし |
タクシー | JLPT N3以上(※緩和の動きあり) | 第二種運転免許 | 新任運転者研修の修了 |
バス | JLPT N3以上(※緩和の動きあり) | 第二種運転免許 | 新任運転者研修の修了 |
トラックよりもタクシー・バスの方が高い日本語レベルが求められるのは、お客さまとのコミュニケーションや、緊急時の対応が必要になるから。人を乗せる仕事だからこその基準というわけです。旅客を運ぶタクシー・バスは、貨物を運ぶトラックより全体的に要件が厳しめ、と覚えておくとよいでしょう。とくにタクシーはビザの選択肢や現場の準備までやや複雑なので、外国人タクシー運転手のビザ完全ガイドもあわせて読むと、より具体的にイメージできるはずです。

技能評価試験の内容と合格率
特定技能ドライバーになるための関門のひとつが、技能評価試験です。正式には「自動車運送業分野特定技能1号評価試験」といい、トラック・タクシー・バスの3区分それぞれに用意されています。実施しているのは一般財団法人の日本海事協会(ClassNK)で、専用ポータルで最新の日程などが公表されています(出典:一般財団法人日本海事協会)。
試験の中身は学科試験と実技試験の組み合わせ。「実技」と聞くと実際に運転するのかと思いますが、そうではなく、写真や図、イラストを使って実務上の判断を問う形式です。試験時間は学科と実技をあわせておよそ80分。合格基準は学科・実技ともに正答率60%以上とされています。難易度のイメージとしては、実務経験2年程度の人が事前準備なしで受けて7割くらい合格できる水準に設定されているそうです。
言語は原則として日本語で、必要に応じてルビが付きます。ただしタクシー・バスの第二種免許学科に準拠する部分については、試験を実施する国の現地語が併記される配慮もあります。受験方式は、テストセンターでパソコンを使うCBT方式と、希望する会場でペーパーテストを受ける出張方式の2種類。
合格者数の動きをチェック
実際の合格状況も見てみましょう。トラック区分の合格者は、2025年10月時点で累計およそ2,832人。さらに直近のデータとして、2026年1月の月次の状況はこうなっています。

制度が始まった直後は、バスやタクシーの受験者・合格者がほとんどいない状態でした。それが少しずつ受験が増えてきているのは、後ほど触れる日本語要件の見直しの動きとも連動していると考えられます。なお、これらの数字はあくまで一時点の目安です。試験の最新情報や受験要領は、公式の案内を必ずご確認ください。
運転免許と外免切替・特定活動
特定技能ドライバーを語るうえで、避けて通れないのが運転免許の話です。ここはちょっと複雑なので、ゆっくりいきましょう。
まず大前提として、事業用自動車を運転するには日本の運転免許が必須です。国際運転免許証では、事業用自動車の運転業務に従事することはできません。区分でいうと、トラックは第一種免許、タクシー・バスは第二種免許が必要になります。
日本の免許を手に入れる2つの道
日本の免許を取得する方法は、大きく2つあります。ひとつは各都道府県の公安委員会が行う運転免許試験に合格する方法。もうひとつが、外国で取得した免許を日本の免許へ切り替える外免切替です。

なお「受験資格特例教習」を受講すれば、19歳以上・運転経歴1年以上で中型・大型・第二種免許の受験資格を得られます。通常は21歳以上・経歴3年以上が必要なので、この特例を上手に使うケースもあります。免許の種類ごとの必要資格に加えて、給与や労働時間といった雇用条件もあわせて押さえておきたいところ。その点は特定技能ドライバーの雇用条件の解説でも整理しています。
準備期間としての特定活動
「免許を取るまでの間はどうするの?」という疑問に応えるのが、在留資格「特定活動(特定自動車運送業準備)」です。これは免許取得や新任運転者研修の受講のために用意された、準備期間のための在留資格。
この期間に認められる活動は、免許取得の諸手続き(自動車教習所への通所を含む)、タクシー・バスの場合の新任運転者研修の受講、そして車両の清掃などの関連業務です。在留期間はトラックが6か月、タクシー・バスが1年で、いずれも更新はできません(出典:出入国在留管理庁)。
注意したいのは、この期間中はあくまで準備や補助業務にとどまるという点。単独でのドライバー乗務はできません。そして、もし期間内に日本の免許を取得できなかった場合、特定技能ビザへ移行できず、特定活動の延長もできない仕組みになっています。なかなかシビアですよね。だからこそ、早めの準備が肝心になります。
2.特定技能ドライバーの採用と受け入れの流れ

ここからは、実際に特定技能ドライバーを「迎え入れる側」の視点に切り替えていきます。受け入れ企業に求められる要件、採用の流れと費用、気になる給料の相場、そして日本語要件の最新の動きまで。採用を検討している事業者の方はもちろん、これから働きたい方にとっても、自分がどんな環境に入っていくのかを知る手がかりになるはずです。
受け入れ企業に求められる要件
特定技能ドライバーは「雇いたい」と思えばどの会社でもすぐ雇える、というものではありません。受け入れ企業(特定技能所属機関)にも、いくつかの条件が課されています。順番に見ていきましょう。
まず大前提として、道路運送法に規定する自動車運送事業を経営していること。具体的には道路旅客運送業や道路貨物運送業などで、第二種貨物利用運送事業も含まれます。そのうえで、職場環境や安全に関する認証が必要です。「運転者職場環境良好度認証制度(働きやすい職場認証制度)」の認証、トラック運送業であれば「安全性優良事業所(Gマーク)」でも対応できます。これらの認証は申請から取得まで数か月かかることがあるので、思い立ったら早めに動くのがおすすめ。
さらに、国土交通省が設置する自動車運送業分野特定技能協議会の構成員になる必要があります。これは制度を適切に運用するための組織で、最初の受け入れの在留資格申請までに加入しておきます。手続きはオンラインででき、入会金や年会費は原則かかりません。届出から加入完了まではおおむね1か月程度が目安です。

このほか、出入国在留管理庁への届出といった継続的な義務や、国交省・協議会の調査や指導への協力も求められます。支援計画を登録支援機関へ委託する場合、その委託先も協議会の構成員であることなどが条件になっている点も押さえておきたいところ。要件から手続き、費用までを通して確認したい方は、外国人ドライバー受け入れの完全ガイドも参考になります。制度は変更されることがあるため、最新の要件は公式情報で確認するようにしてください。
採用の流れと費用の目安
続いて、実際に採用するときの流れと、気になる費用について。「思っていたより手間も時間もかかる」というのが正直な感想ですが、流れがわかっていれば計画は立てやすくなります。
採用の基本的なステップ
大まかな流れは次のとおりです。

すでに日本国内に住んでいる外国人の方を採用する場合と、海外から呼び寄せる場合とでは、手順や期間が変わってきます。とくに海外から免許なしで来る場合は、特定活動の期間も含めて全体が長くなる傾向にあります。募集ルートの選び方や求人の出し方については、外国人ドライバー採用の方法でより掘り下げているので、あわせてご覧ください。
費用と期間のイメージ

海外から教習所に通って一から免許を取得する場合は、外免切替に比べて期間も費用もさらに大きくなりがちです。費用は会社の方針や提携先によっても変わるため、正確な見積もりは依頼先にしっかり確認するのが安心。お金にまつわる判断は、慎重にいきたいところですね。
気になる給料・年収の相場
採用する側も働く側も、いちばん気になるのはやはりお金の話ではないでしょうか。給料や年収について、わかる範囲で整理しておきます。
まず大原則として、特定技能ドライバーには日本人と同等以上の報酬を支払う義務があります。給料は本人の国籍で決まるものではなく、職種・地域・経験・会社の規定によって決まる。ここはとても大切なポイントです。「外国人だから安く雇える」という考え方は、制度の趣旨からも法的な観点からも成り立ちません。
では、業界全体としての水準はどれくらいなのか。日本人ドライバーも含めた一般的な目安としては、次のようなイメージです。
区分 | 給料・年収の目安 |
トラック | 平均月給 約33万〜34万円(賞与含む)、年収 約380万〜400万円。大型やけん引は高めの傾向(けん引で月収約40万円の例も) |
タクシー | 平均年収 約418万円。歩合制で地域差・個人差が大きく、都市部は高めの傾向 |
バス | 20代で年収約350万円、40代で約450万円程度。固定給的で安定しやすい |
特定技能の外国人材全体で見ると、人手不足による需給の逼迫もあって、給与は上昇傾向にあるとされています。とはいえ、これらの数字もあくまで一般的な目安。実際の金額は会社や働き方、勤務地によって大きく変わるので、具体的な条件は求人情報や担当者へ確認することをおすすめします。区分ごとの月収や相場をもっと細かく知りたい方は、特定技能ドライバーの平均月収の解説もご覧ください。給与体系の話は、最終的にはご自身の目で個別に確かめるのがいちばん確実。
注目される日本語要件の緩和
最後にもうひとつ、いま動いている注目のトピックをご紹介します。それが、タクシー・バスの日本語要件をめぐる見直しの動きです。
もともとタクシー・バスの日本語要件はN3以上とされていました。ところが、制度が始まった直後、2025年4月末の時点では、バス・タクシーの評価試験の合格者がほとんどいないという状況だったんですね。そこで国土交通省が2025年6月の有識者会議で、日本語要件をN3からN4へ緩和する案を提示しました。
そして2026年1月23日の閣議決定で分野別の運用方針が改定され、条件付きでの緩和が反映されました。ただし、ここで注意したいのは「単純にレベルを下げただけ」ではないということ。

この分野は、まさにいま制度が動いている最中。ここでお伝えした内容も2026年時点の情報であり、今後さらに変わっていく可能性が十分にあります。実際に申請や採用を進める際は、出入国在留管理庁や国土交通省などの最新の公式情報を必ずご確認ください。
特定技能ドライバー活用の総まとめ
ここまで、特定技能ドライバーの制度をいろいろな角度から見てきました。最後に、大事なポイントをふり返っておきましょう。
特定技能ドライバーは、2024年に新しく加わったばかりの仕組みで、トラック・タクシー・バスの3区分が対象。在留資格としては1号のみで、在留は通算最長5年、家族の帯同は不可、雇用は派遣ではなく直接雇用が前提です。働くには区分ごとの技能評価試験に合格し、日本語要件と運転免許の条件をクリアする必要があり、とくに第二種免許は外免切替ができないため、日本での取得が欠かせません。
受け入れる企業側には、自動車運送事業の経営、職場環境やGマークなどの認証、協議会への加入、そして日本人と同等以上の報酬といった要件が課されます。採用には6〜10か月ほどの期間と相応の費用がかかり、日本語要件の緩和など制度面の動きも続いています。






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